<ユダヤ食品店犠牲者4人:エルサレムに埋葬>
パリのユダヤ食品店でのテロで死亡した4人のユダヤ人の遺体は、イスラエルに運ばれ、13日、ネタニヤフ首相、リブリン大統領や政府閣僚らが見守る中、エルサレムで埋葬された。死亡した4人の詳細は以下の通り。
ヨアブ・ハタブさん(21)
チュニスのチーフラビの息子で学生。イスラエルを訪問し、パリに戻ったばかりだった。食品店で殺害される直前、友人に「フランスのユダヤ人に困難な時代が来る。だから少なくとも安息日を守る努力をした方がいい。」とメッセージを送っていたことがわかった。
フランシス・マイケル・サアドさん(63) http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/190042#.VLm7eqW9BCs
マイケルさんは、6月に妻とともにイスラエルへ移住する予定だった。2人の子供たちは2年前にイスラエルに移住している。息子のヨナタンさんは、父が亡くなったことが悲劇だとは思わないようにしていると語る。
「父の死は、多くのユダヤ人の(イスラエルへの移住を促進する)助けとなる。父の死は、神のための犠牲だと思う。今は、たとえ5ヶ月でも、イスラエルへの移住を躊躇するべき時ではない。」と訴えている。
ヨハン・コーヘンさん(22)
ヨハンさんは、襲撃された食品店で働いていた。警察によると、テロリストが3歳児を殺害しようとするのを防ごうとして殺害されたという。ヨハンさんの恋人は、「これからどう生きていったらいいのかわからない。」と深い喪失をフェイスブックに綴る。
フィリップ・ブラハムさん(40代)
フィリップさんは、敬虔なユダヤ教徒でシオニスト。安息日の前に買い物に来ていて被害にあった。友人たちに「もうすぐ移住する。」といつも言っていたという。
このユダヤ系食品店でのテロでは、ヨハン・コーヘンさんと同スーパーで一緒に働いていた、マリ出身のイスラム教徒、バサナ・バシリーさん(24)が、とっさに冷凍室の電源を切ってユダヤ人客を中に隠し、15人の命を守っていたことがわかった。
フランス政府は、この功績により、バシリーさんにフランス国籍を提供することを決めた。事件後、20万人がバシリーさんの功績をたたえ、帰化を求める署名をしていたことを受けての処置。http://www.bbc.com/news/world-africa-30847333
<イスラエルへのユダヤ人移住促進に関する波紋>
パリでのテロ事件が発生した直後、ネタニヤフ首相は、「フランスのユダヤ人は早くイスラエルへ帰還すべき。」と発言していたが、フランスのボルス首相は、「もしユダヤ人10万人がフランスを去れば、もはやフランスではなくなる。」と述べ、とどまることを進める発言をした。
またヨーロッパのユダヤ同盟代表ラビ・マーゴリンは、「イスラエルへの移住は恐怖からでなく、愛からくるべきだ。」とネタニヤフ首相に反論すした。しかし、すでにイスラエルに移住したフランス人は口を揃えるようにして、「フランスでは反ユダヤ主義が悪化している。早くイスラエルへ帰還するべき。」と言っている。
事件発生1週間後に、ユダヤ機関の移住説明会に参加予約した人は2000人に上った。通常1月は説明会への希望者が少なく、150人程度だという。ユダヤ機関は、今年中にフランスからの移住する人は、最大1万人と予想している。 http://www.haaretz.com/jewish-world/jewish-world-news/.premium-1.637379
2014年は2013年の倍にあたる7000人がイスラエルへ移住している。現在、フランスにいるユダヤ人は50万人。このうち、多くは家族の中に既にイスラエルへ移住した者を持つため、移住はしやすいはずである。
しかし、フランスのユダヤ人の中には、テロが横行するようになってもまだ、「イスラエルは言葉も環境も違う。私たちはユダヤ人だが、フランスで生まれたフランス人だ。」と言っている人が少なくないという。
イスラエル国内では、フランスやヨーロパからの移住者をみこして、アパートの建設がすすんでいるが、今でも全国的に慢性的なアパート不足に供給が間に合わず、押し寄せる移民の波で、さらに家賃が上がると懸念されている。