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なんとも悲惨な結果になりつつあるトランプ大政権だが、アブラハム合意を成し遂げた行動力は、他の大統領では決して成し遂げられなかった事業であった。もうすぐ、消えるかもしれないトランプ政権は、それでもまだ、中東での最後の働きを続けている。
一つは、UAE,バーレーン、モロッコに続いて、スーダンが正式にイスラエルとの国交正常化に署名したことである。もう一つは、イランに対する圧力と包囲網を強化したことである。
イラン包囲網強化
1)スーダンがアブラハム合意に署名
6日、スーダンの首都ハルツームで、スーダンのナスリダン・アブドゥルバリ財務相が、アメリカから訪問したスティーブ・ムニューシン財務長官とともに、イスラエルとの国交を正常化するという、「アブラハム合意」に署名した。
これにより、スーダンは、イスラエルとの国交正常化への手続きを進めることとなった。スーダンが2000年に、パレスチナ問題で、イスラエルとの国交を遮断して以来である。
スーダンがこの合意に踏み切ったのは、この見返りとしてアメリカが、スーダンのテロ支援国家指定を取り下げるとしたからである。スーダンは、海外に、600億ドルの借金があるが、この指定がなくなれば、世界銀行から年間10億ドルの支援を受けられるとのこと。
実質的には、この10億ドルはアメリカが世界銀行に又貸しするほか、アメリカから、スーダンへ、11億ドルの支援することになっているという。なんとなく、この合意は、金で買った感がないでもないが、ともかくも、トランプ政権は、UAE,バーレーン、モロッコ、スーダンと4国とイスラエルとの国交正常化をとりつけた形である。
www.timesofisrael.com/sudan-signs-abraham-accords-with-us-paving-way-for-israel-normalization
また、ムニューシン財務長官は、この訪問の際にエジプトも訪問しており、エジプトとの関係も確認したような形である。
2)サウジアラビアとカタールが国交回復で合意
UAE,バーレーンに近く、サウジアラビアと国境を接するカタールは、イランよりの政策をとっており、その宿敵サウジアラビアとは過去3年半にわたって、国交を断絶していたのであった。
しかし、アメリカがイランの弱体化の一環として、カタールに、サウジアラビアとの和解をすすめていたのであった。こうした中、5日、サウジアラビアで開催された湾岸協力会議にカタールのタミム首長が出席。サウジアラビアのモハンマド皇太子ともに署名に至ったものである。実際的な仲介者は、クェートであった。
イランがカタールを失うことでどんなマイナスが働くかは不明だが、孤立感は深まるとみられる。
news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000203163.html
3)追加経済制裁とカタール取り込み作戦
イランが、ウランの濃縮を20%にまで上げると発表したことは、世界に大きく封じられた。核兵器を作るためには90%のウランが必要だが、20%までの技術があれば、すぐに90%にまで達成できる。今、世界の目に、イランが核兵器保有を目標にしていることが明らかになった形である。
トランプ政権は5日、イランに対するあらたな経済制裁を発動した。中国と取引していたイランの鉄鋼企業や金属関連の会社など13社と、イランと取引していた中国など海外企業3社をブラックリストに加えた。
www.aljazeera.com/economy/2021/1/5/trump-admin-targets-irans-steel-sector-with-new-sanctions
石のひとりごと:トランプ大統領という人物
ぎりぎりまで、こうして働いているトランプ政権。この成り行きは、なんとなく、聖書の次の話を思い出させる。ある金持ちの管理人が、主人の財産を乱費しているとみつかって辞めさせられることになった。するとこの管理人は、借金をしている人を呼び出して、その額を半額に書き換えさせるのである。
まだ自分に特権が残っている間に、親切をほどこし、のちに追い出されたときにも自分を助ける人が残されているようにする。すると神は不正の富であっても、抜け目なくやったことについては褒めた。(ルカ福音書16:1−13よりまとめ)
無論、そのままトランプ大統領に当てはまるということはないが、彼は、在職中、アメリカ大統領という立場をフルに生かして、聖書に書いてある神の計画を進めたようにみえる。エルサレムをイスラエルの首都として米大使館を移動したり、アブラハム合意で、くしくもエゼキエル書38章の世界情勢を構築していったり。。
神はトランプ大統領を今後、どう扱われるだろうか。注目される点である。