ワクチンを追い越す?変異型コロナ感染毎日8000人以上 2020.1.7

シャアレイ・ツエデック・ホスピタル 出展:エルサレムポスト Mark Israel Sellem

イスラエルはワクチン接種を世界一のスピードで実施しているが、変異種の影響もあり、コロナ感染拡大も、およそ世界一になり始めている。

ワクチン接種スピード世界一:副反応は??

イスラエルは、12月19日、ファイザーのワクチン接種を開始。1日15万件で開始し、1月6日までに159万3000人(総人口の20%)への一回目接種を終えた。ファイザーのワクチンは、二回目接種分を計算すると、そろそろ底がつき始めている。

*PCR検査とワクチン会場のあるテルアビブのラビン・スクエアの様子

イスラエルでは、やはりワクチンは二回接種を維持する方針なので、次のワクチンが届くまで、しばらく休止と伝えられていた。しかし、昨日、モデルナのワクチンがまもなく届くことになり、接種は継続できることとなった。

*副反応

ワクチン接種後に4人が死亡したが、3人はワクチンによるものではないことが判明。残りの一人(88)については、まだ調査中だが、基礎疾患があり、ワクチンの副反応ではない可能性が高い。

この他、保健省によると、65万人の接種を終えたところで、なんらかの副反応が出たのは、652人。倦怠感、めまいが319人。5人が下痢。14人が喉の痛み。26人が神経症状。19人が軽い手のしびれ。293人は接種部位に痛みなどである。

このうち、医療ケアを必要としたのは、0.008%にあたる51人だけであった。こうしたことから、保健省は、幅広く国民へのワクチン接種を計画取り進めている。

*ワクチンを無駄にしない

イスラエルでは、医療従事者や高齢者など、優先順位はあるのだが、ファイザーのワクチンは、保存条件がマイナス70度であることから、接種のためにいったん常温に出したものは、使い切るしかなくなる。しかし、1バイラルから五人分を吸い上げるので、どうしてもあまりが出てしまう。

このため、残量を無駄にしないという目的から、夕方に接種会場に行けば、優先順位の低い人でも、余ったワクチンから接種を受けられたという。知り合いの弟(30歳代?)は、元気な若年層だが、すでにワクチン接種を済ませたという。

イスラエルのワクチン接種率 世界ダントツ

イスラエルは、世界で最初に集団免疫を得られる可能性のある国である。また、イスラエルに続いて、国民への接種率が高いのは、UAEの8.35%、バーレーンの3.75%、アメリカの1.46%となっている。

奇しくも、アブラハム合意で名を挙げた国々の多くが、スピーディにワクチン接種ができている点も興味ふかい。

www.timesofisrael.com/1-in-1000-israelis-report-mild-side-effects-from-vaccine/

感染拡大も世界一に近づく

ワクチン接種が世界一のスピードで進められている中、イスラエルでは、変異種の登場もあり、コロナに感染する人の数も世界一の早さですすんでいる。

ここ数日、毎日の新たな感染者数が8000人を超えているのである。重症者は873人。死者も毎日30−50人で、死者累計は、3527人。
イスラエルは、総人口は920万人しかいないので、人口比でいくと、感染者は100万人あたりの感染者は5万706人。

感染拡大が深刻なアメリカは、100万人あたり6万5835人なので、イスラエルはこれに迫っているところである。医療崩壊のきざしはあるようだが、まだ大きな報道はない。死者は、アメリカが、100万人あたり1165人であるところ、383人に抑えられている。

7日深夜からフル・ロックダウン開始

しかし、イスラエルでも感染力が強いとされる変異型が、入り込んでおり、感染爆発が懸念されることから、7日深夜から1月21日までの厳しいロックダウンを開始する。超正統派たちが大きな結婚式をしているなどの問題は、相変わらずで、この人々の間で、変異型の感染が拡大しているとの報道もある。

当初政府は、幼稚園や学校の一部閉鎖しないなどと言っていたが、最終的には、学校もすべてロックダウンに入ることを決めた。

www.jpost.com/health-science/israel-is-locking-down-again-heres-what-you-need-to-know-654519

経済への影響については、すでに貧困率が上がっている中、さらに悪化することはさけられない。詳しくは、後に報告とする。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。