混迷のシリア:イスラエルがシリア領内でヒズボラのミサイルを空爆か 2016.2.20

ロシアが、アレッポでの無差別空爆を行い、先週、国境なき医師団の病院や学校などが被害を受け、少なくとも50人が死亡した。また、トルコが、シリアとトルコ国境付近にいるクルド人勢力への空爆を開始。停戦どころか、シリア情勢はますます混迷してきた。

<シリア難民への人道支援開始>

シリアでは、内戦による包囲網の巻き添えとなり、食料や水が不足して、人々がどんどん死んでいる事はお伝えした通り。国境なき医師団によると、包囲網の中に、巻き込まれているシリア市民は190万人に及ぶという。

国連は、その中でも特に48万人が、危機的状況にあるとみている。シリアの一時停戦はまだ実現していないが、国連は水曜、100台のトラックで、シリア領内でも最も深刻な地域への人道支援物資の搬入を開始した。

<イスラエルがまたシリア軍(ヒズボラ)関連軍事施設を空爆か>

そんな中、シリアの人権保護監視組織が、17日夜、イスラエルの空軍機が、ダマスカス近郊南部の、シリア軍の軍事施設を空爆したと伝えた。大きな爆発の様子が報じられている。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4767764,00.html

これについてヒズボラのメディアは、いつものようにイスラエルの攻撃を否定。イスラエルもコメントを発していないが、これまでの経過からして、シリアかイランからレバノンのヒズボラへの武器を搬入しようとしていたのを、イスラエルが阻止したものとみられる。   

これに先立つ16日、ヒズボラのナスララ党首が、ミサイルでイスラエル全土を標的に入れていると豪語。さらに、「ハイファのアンモニア工場を、ミサイル爆破する。そうなれば、核兵器並みの被害が出る。」と恐ろしい爆弾発言をした。

ヒズボラは、イスラエルとは目と鼻の先にいるため、攻撃の予告も具体的だ。実際、ハイファのアンモニア工場には、15000トンもの起爆性のガスがあり、以前から危険性が指摘されていた。しかし、今に至るまで政府はなんの対策もとっていない。

この件について警鐘をならし続けて来たハイファ市は、「これで政府もわかったか。ヒズボラに感謝する。」とのコメントを出している。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4767144,00.html

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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