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ハネグビ氏ら訪米日程再調整模索
国連安保理で、アメリカが拒否権を発動せず、棄権したことで、ガザでの即時停戦と人質解放を求めることで可決した件。
イスラエルは、アメリカが、可決を阻止しなかったことに大きなショックをうけた。
イスラエルは、今こそ、ガザのハマスと最後まで戦って無力化する時だと主張し続けている。アメリカは基本的にこれを支援する立場を維持してきたのだが、今回は拒否権を発動せず、事実上、即時停戦に賛同したからである。
これがイスラエルにとって、大きな打撃であったということは、ハマスは、この安保理可決に感謝を述べたことからもわかることである。
ネタニヤフ首相は、この結果を受けて、アメリカに落胆を表明。今週、ラファでの戦闘について、これを阻止しようとしているアメリカと議論するために派遣を決めていた、国内安全保障相のハネグビ氏ら一行の渡米を中止すると発表した。
ということは、ラファへの侵攻を止めるものはなにもないということになる。ヒズボラ関連のメディアは、ヒズボラが、イスラエルのラファへの侵攻は、ラマダン終了後、4月から5月にかけて、4―8週間と予測すると伝えている。(あくまでもヒズボラ側の見通し)
ところが、ネタニヤフ首相が、またハネグビ氏たちの渡米について、アメリカと新たな日程を模索しているとのニュースが入っている。二転三転で、時間稼ぎなのかどうか。
実際のところ、ハネグビ氏たちが、都米しても、イスラエルがアメリカの提案を受け入れるとは考えにくく、何か進展があるとは考えにくいというのが現状である。以下が今、アメリカが考えている中東政策
*アメリカの目標とは:停戦とパレスチナ国家設立
アメリカは、大勢の死傷者が予想される、イスラエルのラファ侵攻をなんとか阻止しようとしている。その代替案として、エジプトとの通路フィラデルフィ回廊を閉鎖する案を出している。
また将来的に、地域の恒久的な平和を達成するためには、パレスチナ国家の設立が必須だと言っている。パレスチナ国家が実現すれば、サウジアラビアが、イスラエルとの国交正常化に重い腰を上げる可能性があり、それが実現することで、広く中東が平和になる可能性があると主張している。
ところで、ハネグビ氏に先立ち、ガラント国防相が先に到着していた。ハネグビ氏たちが来なかったので、一人でアメリカの高官たちに会っている。
アメリカとの亀裂をなんとか和らげようとしたとのことだが、基本的にイスラエルのハマスの打倒というイスラエルの基本的な方針は変わらないということを伝えたにとどまっていた。
国内で揺らぐネタニヤフ首相への信頼
ネタニヤフ首相は、戦争が始まる前から、汚職問題に加えて、極右政治家と宗教政党に支えられる強硬右派政権の首相として、支持率は微妙になっていた。昨年10月7日に、ハマスの奇襲が発生してからは、これまでのガザ国境政策において、思い上がりや油断があったとの深刻な批判も重なるようになった。
ハマスとの戦争においては、人質解放より、ハマス打倒に傾いていることへの批判が重なった。さらに今は、国際社会、特に唯一の同盟国であるアメリカからも見放されようとしている。
また、戦闘がはじまってからもう半年になろうとするのに、ハマスはまたガザ北部に数千人もの戦闘員を維持しているようで、戦争が終わる気配はまったくない。
エルサレムポストは、若干右派系ではあるが、「ネタニヤフ政権は、シンワルにとっては夢のような存在だ」とか「私たちはイスラエル軍は信じるが、ビービー(ネタニヤフ首相)は信じない。」「ネタニヤフ首相が辞任しないと国がつぶれる」といった記事が出ている。
www.jpost.com/opinion/article-793453
アメリカからAIPACの励まし
こうした中、27日、AIPAC(アメリカのユダヤビューロー団体)が派遣したアメリカの議員一向が、イスラエルを訪問。
アメリカとイスラエルの関係が微妙になる中、ネタニヤフ首相を励ます形となった。
ネタニヤフ首相は、「イスラエルは必ず勝たなければならない」と強調した。