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ウクライナ情勢まとめ:ウクライナが本格的反転攻勢中
ウクライナでは、ウクライナ軍が反転攻勢に出ており、ドネツク州、ザポリージャ州など東南部で、激しい戦闘が続けられている。ウクライナ国内へのミサイル攻撃もあり、市民の犠牲者も続いている。
一方、最近では、ロシア領内へのドローン(オーストラリアからのダンボール製ドローン)による攻撃も報告されている。しかし、それがすべてウクライナによるものか、ロシア国内の反政府勢力によるものかは、明らかでない。
ロシアでは、ワグネルのプリゴジン氏が、なぞの死を遂げた(影武者との説も)他、プーチン大統領が、「西側はネオナチの虐殺を、ユダヤ人指導者(ゼレンスキー大統領)を置いて、かくそうとしている」と述べ、イスラエルでも記事になっていた。
www.jpost.com/breaking-news/article-757709
NYTによると、ウクライナ軍の戦力は、予備役も含めて50万人だが、ロシアは、国力があるので、133万人と3倍の差がある。プーチン大統領は、まもなく、モスクワで北朝鮮の金総書記がと会談するとみられており、まだまだ戦争をやめる気はなさそうである。
www.nytimes.com/2023/08/18/us/politics/ukraine-russia-war-casualties.html
戦争が長引き中、ウクライナの穀物などの食料が、世界に搬送できない状態が続いている。一時、食料の搬送船の安全は守るとの約束であったが、ロシアは、7月にこれを停止した。このため、今は、ドナウ川を使った搬送への転換が進められているが、航路が難しく、人材不足などで、なかなか十分な搬送はできていない。
9月4日に、トルコのエルドアン大統領が、この件について、ロシアのソチでプーチン大統領と会談した。しかし、プーチン大統領は、黒海を通じた搬送を保障する条件として、経済制裁で貿易停止下にあるロシアの農作物についても、同様の自由を認めることを挙げた。西側はこれを受け入れることができないので、今はドナウ川運送を充実させていくしかない。
www3.nhk.or.jp/news/html/20230904/k10014183901000.html
戦争による死傷者急増のウクライナ:リハビリ需要が深刻
ロシア侵攻による死傷者の数は、双方が明らかにしていないので、予想よりもはるかに大勢が死傷しているとみられる。ニューヨークタイムスによると、アメリカ政府は、すでに、双方合計で、50万人が、死傷したとみている。
このうち、ウクライナの戦死者は7万人で負傷者は12万人とみられる。非武装の市民は、国連データで、9177人となっている。ウクライナでは、ここ3ヶ月ほどの間の反転攻撃で、戦死する人の数が急増しているとみられている。以下は、BBCが、ウクライナの頭部の遺体安置所を取材した記事。
6月にカホウカダムが、爆破攻撃で決壊し、被害が懸念されていたが、NHKによると、その影響で死亡した人は、ウクライナ側の情報だけで32人。39人がまだ行方不明である。流された地雷は90個除去したが、まだあるとみられる。またダムの下流はリシア領だが、ロシア側の情報がほとんどないので、被害はもっと大きいとみられている。
こうした中、ウクライナでは、負傷して義手・義足を必要とする人が、この4月時点で、1万から1万2000人いるとみられている。ウオールストリートジャーナルは、8月時点で、ウクライナ人で、四肢を一つ以上失った人は、2万から5万人とも伝えている。
結果、義手義足が、不足する事態が続いている。日本からは、AIと3Dプリンターで義手義足を作成する会社、インスタリムが、従来のコストの10分の1で義足か運勢させる技術で、ウクライナへの支援も行っている。
readyfor.jp/projects/instalimb_ukraine
ウクライナ西部リヴィウには、この問題に特化した病院、スーパーヒューマンズセンターという施設がある。リヴィウは、ウクライナ西部でポーランドに近く、15万人の難民がいる。負傷している人も多く、この病院では、負傷者の治療、リハビリを提供している。
しかし、リハビリは長くかかることや、負傷者の6%は、PTSDに陥っており、心理的なケアも必要としているという。人材は本当に不足している。日本のも支援の要請が来ており、理学療法士を派遣するなどの支援も行われている。
www.asahi.com/articles/ASR4V7HTFR4VOIPE004.html
そのリヴィウに、日本人建築家で、災害時の紙製パーテーションを開発したことで知られ、建築界でも有名な坂茂氏が、地下2階、地上6階のあらたな外科病棟を無償で設計。着工は来年中に開始すると、リヴィウ市長とともに、9月5日、メディアに発表した。費用は8000万ドルで広く支援を募る。
坂氏は、これほど多くの手足のない人を見たのは初めてだったと語っている。
www.j-cast.com/2023/09/05468285.html?p=all
船越宣教師一家の近況
日本からウクライナへ派遣されている船越宣教師一家の働きは、今も継続されている。以下は、8月30日の報告。
昨夜2時ごろから3時ごろまで、オデッサでは凄まじい迎撃音が連続して鳴り響きました。着弾はなかったようです。(キエフには着弾がありました。)引き続きウクライナが守られるようにお祈りください。」
こうした中だが、被災している人々や、子どもたちを支えながら、福音を伝えて人々を支える、HOPEプロジェクトは継続されている。
兵士たちへの心のケアもチャプレンとして行われている。写真は、そのチーム。
石のひとりごと
理学療法士の中島久元さん(46)が、ウクライナでの活動から戻って来た記事で、帰る時にウクライナ人男性に、「また会おう」とい言ったら、「それは約束できない」と言われたという。近く軍隊に招集される可能性があるからである。戦争はまだ終わったわけではないのである。
ウクライナで死亡する人が増えていることは聞いていたが、手足を失って人生を大きく変えられてしまった人々が、これほどたくさんいることまでは、想像していなかった。日本からもこの分野で様々な支援がなされていることに、励まされた。