イランのコロナ感染は、これまでに120万人が感染し、死者は5万6000人に上っている。1日の感染者は、6000人を超えた状態で横ばい、死者は80人台だが、減少傾向にある。
イランは、厳しい経済制裁で、海外にある資金が使えないため、ワクチンの購入が困難な状態にある。しかし、人道上の問題から、アメリカがワクチン購入のための資金購入は認めると伝えられていた。
ところが、イランのロウハニ大統領は、9日、「外国のワクチン会社は、イラン人を実験に使うつもりだ。」として、ワクチンはもっと安全な国から購入すると述べた。
続いてイラン・イスラム最高指導者のハメネイ師は、ツイッターで、アメリカやイギリスで製造されたワクチンの輸入を禁止すると投稿した。また、アメリカは、アメリカの金融を通しての支払いを認めるといっているが、資金を没収するつもりなのだと述べた。
イランの赤新月社(赤十字社)によると、ファイザーからイランへ、まずファイザーのワクチン15万回分が輸出されることになっていたが、ハメネイ師のこのコメントが出たために、キャンセルになった。
この後にも第3国(COVAX?)を通じて、何百万回分ものワクチンがイランにも届くはずだったが、ハメネイ師のこの一言で、キャンセルになった可能性がある。
ハメネイ師は、アメリカに対する深い不信を表明し、「もしアメリカのワクチンが有効なら、アメリカであれほど感染が拡大するはずはない。」と言っている。
また、欧米のワクチンを信用できないことについて、かつて1980年代に、フランスからHIV入りの輸血用血液が出回って、世界にエイズの感染を拡大したこと、その時に多くのイラン人も感染したということを引き合いに出していた。
なお、イランでは、今年に入ってからイギリス変異種が報告されている。
www.aljazeera.com/news/2021/1/5/iran-finds-first-case-of-new-virus-variant-in-traveller-from-uk
<石のひとりごと>
イランは決して遅れた国ではない。科学的にも文化的にも非常に優秀な人々が多くいる。イランの人々の様子に関する情報はほとんどないが、いったいどうなっているのだろうかと思う。
日本では、最近、イランの映画で、ハリウッドを超えるかのような、相当お金もかかってそうな、犯罪アクション映画、「ジャスト6.5闘いの証」(2019年作品)が公開された。イラン映画至上最大のヒットだそうである。イランも近代的な文化をもつ国なのである。日頃のニュースとはなんともかけ離れたイメージである。
こうした普通の人々が、このコロナ危機をどう見ているのか、欧米のワクチンを断る指導者たちについてどう思っているのかと思う。
トランプ大統領とネタニヤフ首相は、普通の良識的なイラン人たちが、自らの手で民主的なイランを作ってくれることを望んでいたのであった。