アメリカ、ミネアポリスで、警察官の膝に押さえつけられ、「I can’t breath(息ができない)」と言いながら死亡し、アメリカのみならず、世界中に「Black Lives Matter」という反人種差別運動拡大のきっかけとなったジョージ・フロイドさん(46)。
メディアではまったく報じられていなかったが、ジョージさんは、薬物中毒から、悔い改め、キリストのあがないを信じて救われたクリスチャンであった。ジョージさんは、ミネアポリスで、同じ問題を抱える人々を助ける働きもしていたという。
また、黒人が暴徒化して破壊行動が報じられていたミネアポリスのジョージさんの暴行死現場では、賛美と福音伝道が行われて、多くの人が救われ、バプテスマを受けるリバイバルの場所になっていると、CBNが伝えた。
<薬物中毒から献身者へ>
ジョージさんは、両親が離婚後、テキサス州、ヒューストンの黒人地域で母のシシーさんに育てられた。シシーさんは、カニー・ハウスというコミュニティの運営指導者の一人となり、自分の子供、一時は孫と近所の子供も育てていたという。
子供の頃から大柄で、高校時代はフットボール選手として活躍。1992年、高校生のとき、母校のチームが、州代表になったときに大きな貢献を果たしている。家は貧しかったが、これをもって、スポーツ選手の特権としてフロリダ州の大学に入学することができた。
しかし、1995年、テキサス州の分校へ移動したのちに退学。貧しいヒューストンの実家に戻った。この地域は、まずしく、薬物、ギャング犯罪が溢れている地域で、ジョージさんのクラスメートは、多くが20歳代で死亡しているという。
この街にもどったジョージさんは、しかし、その低い声を生かして、ラッパーとして活躍していたようだが、やがて、薬物などで、刑務所へ出入りするようになった。2004年には、わずか10ドルの薬物売買で、10ヶ月も刑務所入りしている。
その後、強盗でも逮捕され、4年間収監されたのち、2013年に出所。この時にはすでに救われていたようである。出所後まもなくして生まれた娘ジョアナさんの影響もあり、リザレクション(復活)ヒューストン教会に所属し、カニーハウスの裏にあるバスケット・コートで行われた礼拝に出席した。この教会では、このコートで多くのバプテスマ式も行われていた。
その後、ジョージさんは、この貧しい第三世界ともいえる地域の薬物中毒の男たちを、ミネソタ州のリハビリ施設に連れて行き、回復とともに職業あっせんまでするミニストリーで働くようになった。
2017年はじめごろには、救世軍のホームレスセンターであり、薬物中毒の中間施設でのセキュリティを務めるようになった。非常に危険な仕事であったが、ジョージさんは落ち着いて、よい働きをしていたとのことである。
ジョージさんは、常に聖書をそばにおいて休み、大きな体格をおりまげて、ルームメイトとともに祈っていたという。
ジョージさんは、4月初頭、コロナに感染していることが判明。以来、付き合い始めたばかりのガールフレンドや、ルームペイトからも離れて治療に専念していた。ジョージさんは、事件で死亡した後、先に召されていた母とともに埋葬されたとこと。
www.nytimes.com/article/george-floyd-who-is.html
<暴動の現場がリバイバルの現場に>
5月25日にジョージさんが殺害されて以来、町は暴徒で大混乱になった。しかし、その同じ場所に、多くのクリスチャンたちが来て祈るようになった。今では、ともに礼拝をささげるようになり、人々が救われ、バプテスマを受けるようになっているという。
礼拝を導くジョシュア・リンクエストさんは、「ここには絶望が満ちていた。しかし今、霊的には完全に変えられた。」と述べている。ジョシュアさんは、「この場所は、リバイバルの基になっていくと信じる。ここの教会がある。神はミネソタで働かれている。」と叫んだ。
<トランプ大統領:警察を擁護しつつ警察組織の改革を支持>
警察の黒人への不当な差別だとして、全米、さらには世界にも広がったこのデモを受けて、トランプ大統領は16日、警察改革に関する大統領令に署名した。
この発表に先立ち、トランプ大統領は、一部の警察の暴行で死亡した人の家族らに面会したほか、この発表のときにも、遺憾を表明したとのこと。
しかし、警察の改革は、法と秩序を守るための警察官の訓練に関するものであるとし、これまでの警察の働きへの高い評価を長々と述べての署名であった。
edition.cnn.com/2020/06/16/politics/police-reform-order-donald-trump/index.html
<揺れるアメリカの教会とBLM運動>
クリスチャニティ・トゥデイによると、ジョージ・フロイドさんの事件について、人種差別を否定する役割は教会にあると答えた牧師(プロテスタント)は、94%にのぼった。(Barna Church Pulse Poll)
また、ジョージさんの暴行死に対する平和的なデモは支持すると答えた牧師は76%であった。これまで人種問題はほとんど触れなかった牧師も、調査に応じた牧師の3分の2が、この問題を取り上げたと答えている。
アラバマ州では、黒人がほとんどの聖ヨハネ・バプテスト教会と、白人がほとんどのドーソン・メモリアル・バプテスト教会が、関係を深め、特権についての話し合いを行った。16日には、ホワイトハウス前でも人種を超えた祈り会が行われた。
しかし、ジョージさんに続いて、黒人の警察による暴行死が3件つづいた後の400人の牧師への調査によると、教会が政治的なこと関わるべきではないと警戒する牧師が62%に登ったという。
www.christianitytoday.com/news/2020/june/pastors-george-floyd-racism-church-barna-research.html
<石のひとりごと>
アメリカの教会は、国とともに、今、大きな変化と揺さぶりの中にある。アメリカの人種差別は根が深いので、このところに神のメスが入っているのかどうか、アメリカにいないものには到底わからないという方がよいだろう。
筆者の母教会の今年の目標は、「十字架外に誇りなし(ガラテヤ6:14)」ともかくも、ジョージ・フロイドさんの暴行死現場で始まっているリバイバルの動きが、このまままっすぐに継続され、全米にも広がっていくようにと祈りたい。