イランでは、16日現在で、感染者は1万3938人で、回復した人は、4590人。過去24時間で113人が死亡して、死者数は724人となった(ロイター)。イランでは、医療崩壊が発生しており、現在、中国、イタリアに続いて3番目に被害が急速に拡大している。
イランは、13日、全国民すべてに屋内に入るよう指示。24時間以内に、店も通りも空っぽにした上で、市民全員(8000万人)のコロナ検査を行うと発表した。さらに、今後10日間以上、サイバースペースから携帯を使って、軍が、国民すべてを調査、監視して、感染者を洗い出すとしている。
ハメネイ・イスラム最高指導者は、軍に対し、すべてを集中させて、コロナ対策にあたるよう、指示した。
2018年に発動されたアメリカのイランへの経済制裁で、イラン経済は相当に疲弊している。アメリカのペンス副大統領は、イランに対し、支援を申し出たが、イランは、これを拒否。イランは、IMF(国際通貨基金)に、対コロナ対策へ50億ドルの資金援助を要請した。
WHOは、検査キットはじめ、医療関係者の防護用品とともに、医療用品7.5トンをイランに供給した。
ザリフ外相は、国連に対しても、イランへの経済制裁を緩和するよう要請を出した。皮肉なことだが、イランは、今や打倒アメリカ、打倒イスラエルどころではなくなっているとみえる。
www.timesofisrael.com/with-500-dead-iran-to-empty-the-streets-check-all-80-million-people-for-virus/
<初動の甘さ:実情隠蔽の疑い>
イランで感染源となったのは、宗教的に重要な町コムだった。イランは中国と関係が深いため、中国で感染が広がり始めていたにもかかわらず、中国からの飛行機を制限することをしなかった。このころに、全国からコムに来て、故郷へ帰って行った人からイラン全国に感染が広がったとみられている。
また、コムで感染が広がり始めたころ、政府が正確な感染状況を伝えなかったため、住民たちは、それほど真剣に感染予防をしていなか
った。
このころ、イラン政府は、感染が広がりはじめた中国に300万枚のマスクを寄付した。ところが今、イランでは、深刻なマスク不足となっており、マスクなしの人も少なくない。これもまた感染が拡大している原因だと言われている。
イラン政府は、その後、大学や学校を閉鎖したが、感染源となったコムの町全体を隔離するには至らなかった。現在、コムは隔離閉鎖されている。しかし、市民の間には、初期の政府の甘さへの批判が高まっている。
なお、イランでは、シーア派イスラムの教えに従い、3月末に約10日間の正月シーズンがやってくる。通常なら、家族でカスピ海を訪れるなど市民たちが旅行を楽しむ時期であった。