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イスラエルでは、新感染者が増加を続けており、15日は299人、16日は288人と300に近づく事態となった。しかし、前と違う点は、重症になったり、急に死亡する人の報告はない。
ネタニヤフ首相は緊急コロナ閣議を開催。その結果、緊急コロナ体制を45日延長して、要注意とされる3地域を”制限地域”に指定。しかし、経済活動の解除計画は続行すると発表した。
イスラエルの緊急時コロナ体制とは、日本でいえば、(日本の定義による)緊急事態宣言下にあるような形で、政府が、市民に対し、必要な強制的な支持を出すことができるという体制である。
www.timesofisrael.com/israel-to-resume-train-service-next-week-as-288-new-virus-cases-reported/
アラブ・ベドウィン3地域を”制限地区”指定
今回、制限地域とされたのは、ネゲブ地方ベドウィンのアララとらハット。テルアビブ・ヤッフォのアラブ人地域アジャミである。アララでは、この地区だけで新規感染者が32人と全国で最大となっており、感染拡大が懸念されている。これらの地域では、学校は休校。集会は10人までとされ、地域への出入りが監視される。期間は記載がないが、1−2週間をめどと思われる。
なお、テルアビブ・ヤッフォでは、先週、政府が、18世紀のイスラム教徒墓地エリアに、ホームレスのためのセンターの建築を開始したことから、アラブ人たちが、5日以上にもわたってデモを行った。暴力にも発展したことから、工事は一時停止となっていた。
電車運行再開・コンサートなど文化活動も再開へ
電車の運営は、来週月曜から開始される。ただし、乗車は500人を上限とし、48時間前までに乗車要約を入れた人がだけが乗車できる。電車については、バスが許可なのに、電車は禁止とは矛盾ではないのかとの声が上がっていた。
この他、これまでは結婚式、割礼式などのみとしていたところ、文化的イベントでも許可するとした。集会人数は、250人から最大500人まで許可するという。
これについては、15日、アーティストなど文化関連で働いているために職を失った人々約5000人が、エルサレムの経済省前に集まり、国の経済支援を要求するデモを行っていた。
この人々は、アーティストやミュージシャンは、自営やフリーで活動しているため、政府の経済支援からもれてしまい、食料すら買えないと言っている。さらに、ほとんどの職種の再開は認められる中、ライブやコンサートなどの活動はできないままなのである。
このデモでは、デモ隊と警察が衝突し、2人が逮捕された。ネタにタフ首相は、カッツ財務相とともに、「政府としては、皆さんを助けたいと思っている。」との共同宣言を出していた。
文化活動を500人まで容認するというのは、このデモに対する応答であるといえる。しかし、チャンネル12のキャスターは、カッツ財務相に、「感染者が288人なのに、本当に大丈夫なのか。」との質問を投げかけていた。
今は、議論の中心が、感染予防から、経済再開へシフトしているせいか、保健省の影はうすい。エデルステイン保健相は、上記解除については合意しているが、感染予防の原則を市民たちが遵守することが必須で、もし感染が拡大することになれば、電車も文化活動も、再び禁止にすると警告した。
*イスラエルの経済状況
イスラエルでは、経済活動の解除が始まったことや、政府が職場復帰させる会社には、1にあたり一月7500シェケル(22万5000円)を支給していることから、人々が職場復帰できるようになった。しかし、失業率はまだ約21%と高いままである。
大きなダメージが続くのは、上記イベント業者だけではない。インバウンドの停止で、旅行会社やバス会社など、旅行関連業者の困窮が続いている。
17日、プライベートのバス会社が、朝のラッシュ時間に、テルアビブのアヤロンハイウェイを大型バスを連ねて、閉鎖しするというデモを行った。バス会社たちは、レゲブ交通相に対し、「我々を見捨てるな。」と、政府からの経済支援を要求した。
מחאת ענף ההסעות הפרטיות: נהגי אוטובוסים חוסמים את התנועה בנתיבי איילון באזור מחלף השלום pic.twitter.com/mcRZLg3P9t
— חדשות 13 (@newsisrael13) June 17, 2020