被災地は、トルコだけではない。シリア北部のアレッポやイドリブでも、建物の倒壊で死者は1400人以上と、こちらも救援が急務になっている。以下はシリアの被災地に様子。
この地域にいるのは、410万人ともいわれるシリア難民で、このうち270万人が今回の地震で被災した地域にいるとみられる。シリア難民はすでに悲惨すぎる状態にある中で、今この悲劇にみまわれたということである。
www.bbc.com/news/world-middle-east-64544478
被災地では、シリア内戦でも市民の救出に活躍した民間組織ホワイトヘルメットが救出活動を行っている。しかし、シリアでの救援活動について、国際社会の支援活動がどうなっているのかは、明らかでない。スンニ派の湾岸アラブ諸国が救援活動を申し入れているようだが、実際はどうなっているのかはまだ見えてこない。
こうした中、トルコとシリアの国境にあるラジョーで、過激派を2000人(うち1300人はIS)を収容していた施設が被災し、ISメンバーとみられる収容者が、少なくとも20人脱獄したという。
一方、ニューヨークタイムスによると、シリアでの救援活動に、イラクから、ISと戦うシーアは組織(イラン傀儡)が向かっているとのこと。地震の大災害に加えて、どうしようもないカオスになる様相である。
地震発生当初、ロシアから、イスラエルにシリアへの救援を要請したとの報道があった。しかし、今のところ、イスラエルが、シリアに救援隊を派遣する様子はない。
イスラエルとシリアとはまだ国交がないだけでなく、敵対関係にあるため、シリア自身もイスラエルに救援を要請したことを否定している。いずれにしても、上記のようなカオスであれば、イスラエル軍がそこへ入っていくということは、難しいだろう。
しかし、イスラエルは、2017年、北部ゴラン高原を経由して、シリア内戦で負傷したシリア人を密かにイスラエルへ移送して治療し、その後またシリアへ戻すという活動を行なった。「オペレーション・よき隣人」である。
このほか、最近では、シリア人たちのための医療クリニック(働き手はすべてシリア人)を設立し、シリア人の医療に貢献している。医療物資の支援も行っている。今ではイスラエルを敵視してきたシリア人の心もだいぶ変わっている可能性がある。
www.timesofisrael.com/operation-good-neighbor-israels-massive-humanitarian-aid-to-syria-revealed/
また、今回の被災地、アレッポやイドリブには、反政府勢力で、イスラエルに敵対心を持たない、クルド人が多く住んでいることから、今後、イスラエルがなんらかの救援を始める可能性はあるかもしれないが・・・どうだろうか。
<石のひとりごと>
シリアで、助かった被災者たちは、家がいつ崩れるかもわからないので、家に帰ることができず、氷点下の空の下でホームレスになっている。大事な家族を失った人はどんな思いなのだろうか。心が張り裂ける思いだが、ただ祈るしかない。
日本では、フィリピンから強制送還される4人の話題に忙しく、少なくとも7日日中の時点では、この地震のニュースは2番手3番手だった。読売新聞朝刊では、2面での報道であった。
確かに、特殊詐欺事件も、非常に重大なことであり、人間は、どこまで悪に染まるのかというやりきれない思いだが、これほどの災害よりもそちらの方に報道が集中していたということにも、なんともやりきれない思いだった。