昨今、西岸地区でもイスラエルとパレスチナ人の紛争が相次いでおり、未然に防がれるテロ未遂事件が激増している。先週は、双方に死者が出た。
1)アリエル近郊のテロ:ラビで12人の父親と19歳イスラエル兵死亡
先週日曜17日、西岸地区のユダヤ人入植地(市)アリエルの交差点で、17日朝10時ごろ、パレスチナ人1人が、警備にあたっていたガル・ケイダン軍曹(19)に近づき、ライフルを奪って、ケイダン軍曹を撃った。
ケイダン軍曹は、しばらく犯人と争い、追跡したが、まもなく倒れる様子が、防犯カメラに記録されている。ケイダン軍曹はその場で死亡していた。
その後、犯人は、通行する3台の車両に発砲。そのうちの1台を運転していたラビ・エッティンガーさん(47)に重症を負わせた。エッティンガーさんは、病院に搬送されたが、後に死亡した。
まもなく、イスラム聖戦、つづいて、ハマスも事件を歓迎する声明を出した。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5479823,00.html
テロリストは、ラマラ近郊の村に住むオマル・アブ・ライラ(19)。イスラエル軍は、犯行から2日後、村で潜伏していたオマルをおいつめ、家を包囲した。オマルが銃撃で抵抗したため、最終的には射殺するに至った。
最初に銃撃を受けた、テルアビブのイスラエル軍兵士のためのイシバ(ユダヤ教神学校)の校長で、ラビでもあるアヒアド・エッティンガーさん(47)。銃撃を受けて病院に搬送されたが、後に死亡した。エッティンガーさんは、子供12人の父親であった。
家族は、エッティンガーさんの回復に全力を尽くした病院に感謝し、エッティンガーさんの臓器の提供を決めた。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5480383,00.html
この家族については、ネットで献金を募ったところ、事件から3日日目で、すでに目標額の60%にあたる120万シェケル(約4000万円)が集まっていた。
ガル・ケイダン軍曹(19)の遺族は、両親のマリアナさんとアナトイルさん。兄弟のエレズさんと姉妹のアロナさん。ケイダンさん一家は、イスラエルに住むなら軍で国を守ることは当然と考えている家族で、ガルさんは、軍では司令官を目指していたという。
ガルさんの恋人ニツァンさんは、ガルさんが、人生を生き抜いて楽しんでいたこと、イスラエル軍で戦って終わったことについて、「19歳で逝ってしまうのは、確かに早すぎる。しかし、こうなったからには、ガルも満足していることと思う。」と語り、彼とともに生きた最高の時間の感謝すると述べた。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5483383,00.html
2)ナブルス・ヨセフの墓で紛争:パレスチナ人2人死亡
上記事件の3日目、プリムの20日、西岸地区のパレスチナ自治区の町ナブルス(A地区で完全なパレスチナ人地区)にある、ヨセフの墓で、祈りに来たユダヤ教徒たちの警備にあたっていたイスラエル兵に、走行する車両から爆発物が投げつけられた。
イスラエル軍が、これに実弾で対応したため、パレスチナ人2人が死亡した。死亡したのはラエド・ハムダン(21)、ザイド・ノウリ(20)
ナブルスとアリエルは近郊である。アリエルでは、この前日にもバスに大きな石が投げつけられた。負傷者はなかったが、女性が1人ショックで治療を受けた。
ヨセフの墓は、聖書によると、出エジプトの際、イスラエルの父祖ヨセフの骨も一緒に持ち出され、ヨシュアの時代に、シェケム(ナブルス)に埋められたとされる。ユダヤ教徒にとっては聖地である。
オスロ合意の際に、ユダヤ教の例祭など、特別な場合には、ユダヤ人が祈りに来ることが認められることになったが、緊張と紛争は変わっていない。2015年には、ヨセフの墓が放火で大きく焼失し、復旧作業を行っている。
www.haaretz.com/israel-news/two-palestinians-killed-in-clashes-at-joseph-s-tomb-in-nablus-1.7041642