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トランプ大統領から、核開発問題について、軍事的解決か交渉による解決かかだと迫りつつ、交渉を求める書簡を受け取った、イランの最高指導者ハメネイ師は、3月12日(水)、これを明確に拒否すると表明した。
その後、イランは、ロシア、中国と急速に結束を強化しており、欧米との対立に強気姿勢を見せている。
イラン・ロシア・中国がオマーン湾で共同軍事演習
イランのハメネイ師が、トランプ大統領の要請に拒否を表明した3月12日(水)、イラン、ロシア、中国の軍は、オマーン湾で共同訓練を行った。この3国が共同訓練を行うのは5年ぶりで、タイミング的にも欧米の対する警告とみられている。
apnews.com/article/mideast-tensions-iran-china-russia-naval-drills-b150bd7fa1336e52fbbf6fd4afd593de
イランが国連安保理でアメリカとヨーロッパを非難
その2日後の3月14日(金)、国連安保理はこの件について、非公開で緊急会議を開催した。
イランのメディアによると、この会議において、イランのサイード代表は、「この問題はIAEA(世界原子力機構)の問題であって、国連安保理が介入するのは不当である」と主張した。
イランは、イランの核利用は平和利用であると強調。ウランの濃度については、NPT(核拡散防止条約)では上限が決められていないと主張し、今現時点で60%に至っていることも問題にはならないと主張した。
また、イランは、2015年にイランと国際社会の間で締結されたJCPOA(核問題に関する共同包括的行動計画)にも違反していないと主張した。
逆に2018年にJCPOAから勝手に離脱したのは、アメリカであり、欧米諸国の中には、これを支援し、扇動する動きもあったと非難した。イランは圧力の下では話し合いはしないと強調している。
また、イランは、中国、ロシアと連絡を取り合っていると述べ、この同じ日の3月14日(金)、ロシア、中国の副外相とともにイランの副外相が北京に集まり、この件について話し合うと述べた。
en.irna.ir/news/85777126/Iran-slams-UNSC-meeting-as-an-unwarranted-interference-in-its
*JCPOA(共同包括的行動計画):2015年発動から今年10年目
JCPOAは、イランが、核開発を抑制することを条件に、先進国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、EU、中国)側は、これまでに課していた、イランへの経済制裁を段階的に解除するという計画である。
この計画には、10年という期限が付けられており、今年2025年10月18日に、期限を迎えることになる。理論的にみれば、期限後、世界はイランの核開発を制限できなくなるということである。
JCPOAにはこのほかにも落とし穴があった。2015年から、イランは核開発を一旦停止するが、ウランの濃縮施設はそのまま維持することが認められていた。
また、通常兵器の開発についてはなんの制限もしていない中で、段階的ではあったが、経済制裁を解除したのである。イランは、将来に備え、核を搭載できる弾道ミサイルを開発することは可能であった。
実際のところ、今年10月に、JCPOAの期限が切れた後、イランがすぐ核兵器を保有することになっても不思議はないということである。
イスラエルは最初からこれに警告し続けてきた。また、その後、2017年に政権についたトランプ大統領は、イスラエルに同意し、2018年、アメリカはJCPOAから離脱。イランへの厳しい経済制裁を再開したのであった。
これを受けて、イランもすでにJCPOAの制限を破って、ウランの濃度を60%にまで上げた。イランが核兵器を保有する可能性は非常に高くなっている。イランは、JCPOA終了後、1週間以内に核兵器を所有しているだろうとの予想も出ている。
www.bbc.com/news/articles/c86pvyd2qeno
北京でのイラン・ロシア・中国副外相会談:共同声明
北京では、3月14日(金)、イランのアリババディ副外相、中国の馬副外相、ロシアのアレクセービッチ副外相が集まり、イランの核問題に関する会議を行った。
その後の共同記者会見で、3国は、「違法で一方的な制裁は終わらせるべきだとの考えで一致した。この件に関係する国は、今の危機的な状況の原因を取り除き、イランへの制裁を解除し、力による脅迫を止めるべきである」と発表した。
また、イランに関する交渉においては、いかなる点でも、国連安保理の常任理事国であるロシアと中国の合意を必要とすると強調した。
世界戦争の構図に警告
ウクライナのゼレンスキー大統領と会談したトランプ大統領は、ロシアとの停戦、和平にならなければ、第三次世界大戦になる可能性にも言及していた。
福音派キリスト教徒、シオニストであり、ニューヨークタイムスやFOXニュースでも人気のジャーナリスト、ヨエル・ローゼンバーグ氏。世界情勢から終末に関わる数々の小説のベストセラー作家である。
ローゼンバーグ氏は、「今、世界は、私が書いてきた、どの小説よりも危険な状況に急速に突き進んでいる」と警告している。