必見!ハマス弱体化?ガザ避難民たちがハマスを非難しイスラエルを祝福:イスラエルTV が直接取材 2024.11.14

スクリーンショット

激戦地ガザ北部ジャバリヤにイスラエルのTV局取材

ガザには、イスラエルのみならず、欧米各社のメディアも入ることができない。このため、ガザの情報は、アルジャジーラなどアラブ系メディアか、ガザのパレスチナ人の記者が発信する情報を、世界は見ているということである。

ガザでは北部ジャバリヤとその周辺でまだ激戦が続いているが、一部イスラエル軍が自由に動ける地域も出てきたようである。

11月12日(火)イスラエルのテレビ、チャンネル12が、ジャバリヤに入って、直接、避難民たちを取材した映像を公開した。英語字幕は、All Israel News(ヨエル・ローゼンバーグ氏)によるものである。

その内容は、あまりにもショッキングで、泣かずに見続けることができる人はいないだろう。しかし、非常に重要な情報で、皆が見るべきだと思う。(約21分)

ガザ市民のハマスへの怒り噴火状態:イスラエルを祝福し、その支配を望むとまでいう人々

IDF troops operate in northern Gaza’s Jabalia, in a handout photo published November 5, 2024. (Israel Defense Forces)

ガザ北部ジャバリヤは、イスラエル軍がいったん、ハマスを追放したが、再び結集を始めたので、ここしばらく激しい戦闘になっている。

イスラエル軍は、ジャバリヤにいた避難民たちに、巻き添えにならないよう、ジャバリヤから出るよう警告したが、当初出ていく様子はなく、イスラエル軍は、苦戦を強いられた。

イスラエル軍は、これまでにここだけで、戦闘員を含め1000人が死亡したと見ている。イスラエル兵も、これまでに10人以上が戦死している。

ガザ避難民たちは、なぜ長くジャバリヤを出なかったのか。その理由は、ハマスに出ないように脅かされたこともあるが、ガザ全体、どこへ行っても安全なところはないと考えていたとも言われている。

しかし、チャンネル12が取材に入ったのは、ジャバリヤからようやくガザ市民が、出ていく時だった。

ジャバリヤにいた6万人のうち、5万5000人が出て行ったと推測されている。

出ていく市民たちの様子はまさに「エキソダス」状態であった。女性たちが砂漠の乾いた地の上を、巨大な荷物を抱えて移動している。子供たちも同様である。なんとも悲惨である。

この中で、取材したのは、チャンネル12のアラビア語が堪能な記者である。

記者が、大きな荷物を担ぎながら移動する人々にマイクを向けると皆、多くの人々がみな、慢心の怒りを込めて声を荒げて「ハマスが我々を傷つけ、殺したのだ」「ハマスはテロリストだ」「神がハマスを罰するように」「ハマスが全部奪った」「シンワルを殺してくれて感謝する。」などと叫んでいる。

「息子を殺したのはハマスだ。もう何も残っていない」と怒り狂って叫ぶ女性もいた。子供たちまでもが、重いい荷物を担いで歩きながら、叫んでハマスを非難している。

車椅子に乗っている人を押す人や、松葉杖の人も多い。その人々によると、ハマスにやられたという。一人の男性は、食料配布に行ったら、段ボールからそら豆の缶詰が入っていたが、2缶だけくれて、あとは販売していたと言っている。男性は、文句を行ったら、ハマスに撃たれて足を失っていた。

ハマスへの避難を叫んでいる人々はもはや恐れていない。顔を隠す様子もなかった。人々は、ハマスをのろい、イスラエルにハマスを倒してほしいと頼む姿もある。

イスラエルを祝福し、イスラエル人にガザを支配してほしいとさえ言っていた。あなたたちと共存し、平和に生きていきたいとまで言っている。

この大胆さから、ハマスが弱体化しているからか、または、もう何も失うものがないので、大胆になっているか、その両方かと、チャンネル12の記者は考えている。

ガザ避難民が言っていることの中で、事実として覚えるべき重要なことは、いくつかある。

①ハマスは支援物資を横領、人々に配らず横領している、②ガザ市民の死者の中には、ハマスに殺害されたものも少なくない、②イスラエルによるガザの管理を望むと言うガザ市民もいる。

歩いている人々は苦しそうに、口々に「のどがかわいた。水がほしい」と言っている。イスラエル兵が水を配布している。途中で倒れる人を軍の医師がケアしている様子もある。

イスラエル人記者は、ガザ避難民のこの様子を喜んでいるわけではないと言っている。中東では、勝った方につくという原則がある。あれほど褒めていた前の支配者でも、負ければさっさと敵側について、前の支配者はボロクソに非難する。

以前、イラクで、サダム・フセイン大統領が、負けたとなると、群衆がその像を叩き壊していたのを覚えている。これが中東のサバイバルの原則である。

ガザでも記者が、10月7日のハマスの暴力はどう思うのかと聞くと、全然いいとは思っていないと非難していた。しかし、インタビューした記者も言っているように、この人々は、10月7日のイスラエル人への攻撃があった際は、祝いをしていたのである。

しかし、それでも、イスラエル人の記者はこの人々の悲惨な様子に、人間として、またユダヤ人として心が痛むと語っている。

ジャバリヤで降参してくるハマス

映像の最後の方は、ジャバリヤで、降参してきたハマスも取材していた。惨めにならんでいる男性たちである。その中には、10月7日のイスラエル襲撃に参加した者もいる。

チャンネル12の記者は、「この人々は今何を考えているのだろう。人間性と道徳心を失うことにどんな益があったのか。実際のところ、ガザの同胞たち、母や子どもたちに破壊と空腹と死をもたらしただけだ。」と語っている。

石のひとりごと

この映像は筆者にとってもかなり、衝撃的だった。世界は、ガザの人々を苦しめているのが、まさにハマスであるということを理解しないといけない。アメリカの有名大学で、イスラエルと批判し、ハマスを支持する人々は、まったく的外れ以外の何者でもない。

これと戦って、息子たちを犠牲にまでしているのがイスラエル軍なのである。

大きすぎる荷物をひきずっていく女性や子供たち。悲惨、悲惨の一言だ。しかし生きて行かなければない。「のどがかわく、水を」と言っている様子に、地獄という文字を見たような気がした。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。