安息日ガザ南部空爆で90人以上死亡:ハマス最上級指導者モハンマド・デイフの死亡確認できず 2024.7.14

IDF

ガザ南部空爆:90人以上死亡か

13日、安息日午前11時頃、突然、イスラエル空軍が、ガザ南部、カンユニスと人道地域アル・マワシの間に位置するハマス地点への空爆を実施した。

イスラエル軍によると、ハマス最上級指導者モハンマド・デイフ(58)とカンユニスの軍事指導者ラファ・サラメ(写真右)が、この地点にいるとの情報を得て、攻撃を実施したという。

昨年12月、イスラエルは、ハマス指導者らの位置情報を届けた者には、報償を出すとのちらしを拡散していた

(Screenshot from X)

が、デイフもその中に上がっており報奨金は、10万ドルとなっている。

それが情報源かどうかは不明だが、それほどに、追いかけていた人物であったということである。

攻撃の前には、時間をかけて、イスラエル人の人質がいないことを確認した上攻撃に踏み切ったとイスラエル軍は強調している。

デイフとサラメが死亡した可能性は高いとはされているが、デイフの死亡は、まだ確実な確認はとれていない。

イスラエルが攻撃したのは、サラメの拠点で、フェンスで囲まれたエリアだった。

上空から見ると、低い建物と木々が植えられている場所であり、避難民がテントを張っているような場所ではない。イスラエル軍は、攻撃の前後の写真も報じている。

以下はその時の様子。普通の空爆というより、かなり大きな爆弾か何かが爆発したようである。

しかし、ガザから流れてくる攻撃後の映像は、かなり壮絶な破壊の様相で、以下はクレーターになった穴に犠牲者がいないか捜索する様子。

ガザ保健省(ハマス)は、少なくとも90人が死亡。300人が負傷したと発表。攻撃が、地下トンネルではなく、地上建物であったために、被害が拡大したとハマスは言っている。

ハマス副指導者サミ・アブ・ズーリーは、デイフの死亡を否定しているだけでなく、デイフを狙ったというイスラエルの主張をも否定し、イスラエルは、単に民間人を狙ったとして、集団虐殺だと訴えている。

また、この攻撃は、イスラエルが停戦交渉に興味がないことも表していると述べた。

www.timesofisrael.com/idf-strike-targets-hamas-military-chief-muhammad-deif-hamas-claims-at-least-70-killed/

ネタニヤフ首相単独記者会見:攻撃が交渉の後押しになると

at the Defense Ministry in Tel Aviv, July 13, 2024. (Dudu Bachar/POOL)

ネタニヤフ首相は13日夜、記者会見を開催。デイフの死亡はまだ確実にはなっていないことを認めた。

しかし、この攻撃によって、ハマスへの適切な圧力になったと作戦を評価すると表明した。

これほど大きな攻撃を受けて、まだガザにいる人質が報復を受けることや、現在進行形の交渉で、ハマスが態度を硬化させることも懸念されるところである。

しかし、ネタニヤフ首相は、昨年11月に、交渉で、人質105人が戻ってきたのは、当時イスラエル軍が、アメリカの反対にも関わらず、ラファへ進軍し、ハマスのエジプトからの供給路を遮断して、ハマスに大きな圧力になっていたからだと語った。

それ以降、これまで、ハマスとの交渉がなかなか進まなかったのは、イスラエルが、軍事的な圧力を差し控えていたからだとして、今回の攻撃がハマスに大きな圧力となり、交渉が前に進むとの期待も語った。言い換えれば、ハマスに通じる言語は武力だけだと言っているのである。

しかし、今回の記者会見は、ネタニヤフ首相単独のものであり、ギャラント防衛相が一緒に立っていなかったことも注目されていた。

ネタニヤフ首相とギャラント防衛相の関係が悪化して、解任するのではないかと記者に質問されると、ネタニヤフ首相はその予定はないと答えていた。

www.timesofisrael.com/netanyahu-says-not-absolutely-certain-deif-killed-cracks-appearing-in-hamas/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。