20日に南部エシュコル市域のキブツに着弾したミサイルで死亡したイスラエル軍兵士ヨセフ・パルトゥックさん(18)の埋葬式が21日、エルサレムの広大な墓地で静かに行われた。本来なら軍葬となり、大きく報道されるところだったが、家族がこれを断ったという。
ヨセフさんは、ユダヤ教超正統が設立した西岸地区入植地エマニュエルの出身。違法な入植活動でイスラエル軍と常に対立する町である。当然、エマニュエルから従軍する者はいない。ヨセフさんは、こうした町の方針に同意せず、2ヶ月前に町を出る形で国防軍に入隊していた。
ガザ地区ではイスラエル軍の攻撃で死亡した場合、町を挙げて憎しみを叫びながらの葬儀をしている。ハマスに殺されたヨセフさんだったが、その埋葬はあまりにも静かだった。
<若者たちの涙>
埋葬には、ヨセフさんと同じ部隊に所属していたという18歳前後の若い兵士たち5-6人がいた。談笑してはいたが、1人の顔には、いいしれない苦悩の表情があった。
また埋葬には、アメリカからイスラエルに1年間のユダヤ教学習で来ている17-18才の美しい少女たちも大勢来ていた。
気がつくと、となりから鼻をすする音がする。少女が静かにこらえるように泣いていた。ユダヤ人としてのアイデンティティを喜び、イスラエルに来た。しかしそこで見たのはハマスのミサイルで亡くなった18才の青年・・。これが彼女のアイデンティテイなのだ。この埋葬がどんな影響を若い彼女の心に残すのか・・と思った。
たばこの煙のにおいがした。こんな時に・・と思って見ると、中年ぐらいの女性がたばこをすいながら埋葬を見ていた。鼻をすすっている。目から涙がこぼれるのが見えた。
ユダヤ人として生きることはたやすいことではない。どんなに厳しくて、どれだけ批判されてもここにしか生きる場所はない。それをあらためて実感させられた時となった。