シリアを筆頭に、ソマリア、エリトリアなどアフリカ諸国から地中海をわたってヨーロッパへ逃れようとする難民の舟が続出。地中海で次々に転覆し、数百人単位で死亡している。
11日(金)、イタリア沖のマルタ島付近で、難民を満載した舟が転覆。マルタから救出に向かったが、少なくとも50人が死亡した。同じマルタ沖では、先週も同じように難民(アフリカのソマリアとエリトリア人)の舟が沈没し、500人中、300人が死亡したばかり。
同じ11日(金)、イタリアのシシリー島近くでも難民船が拿捕され、500人以上の難民が救出された。同じく11日、アフリカ大陸を出発したばかりとみられる難民船が、エジプト沖で転覆。116人が救出されている。
こうした難民船は、相当おんぼろである上に、定員をはるかに超えて難民を満載している。近くを通る舟やヘリコプターをみると、難民らがいっせいに同じ方向に身を乗り出して助けを求めるため転覆するとみられる。
<難民はどこから来るのか>
難民は、シリア人の他、ソマリアやエリトリアなど祖国にいると死ぬしかない人々の他、アフリカからは貧困から逃れてくる難民もいる。女性や小さな子どもも多数いる。
BBCの調べによると、シリア人たちは1人1000ドルから2000ドルを斡旋業者にとられて、エジプトから舟に乗るという。助かっても多くは愛する家族を失っている。だれもこれほど危険な船旅になるとは思わなかったと助かった難民たちは言う。
EUヨーロッパ諸国は、難民受け入れに関するルールを設けている。簡単に難民を受け入れるわけにいかないため、どうしても救出が遅れるのである。死者が続出しているのを受けて、ルールの見直しが呼びかけられている。
しかし、ヨーロッパには元々ネオナチという反移民主義があるので、難民を受け入れるようになれば暴力の嵐になりかねない。社会的経済的にも難民を受け入れることはたやすいことではない。
この難民問題、中東アフリカだけではない。アジアでも、レバノンやイラクからの難民がインドネシアやオーストラリアに向かっていて難民船が転覆し、数十人からの死者を出している。
難民は、世界中で増える一方である。国際社会は今、大きなチャレンジを迎えているといえる。
<イスラエルに関して>
シリアはイスラエルの隣だが、シリア難民たちは、これほど命がけの船旅を選んでもイスラエルへ来ようとはしない。イスラエルが敵国として嫌われているともいえるが、イスラエル軍が、国境をがっちり守っているからである。
アフリカからの難民はイスラエルにも来ていたが、イスラエルは、南部国境に壁をつくって、がっちり入らないようにした。しかし、壁ができるまでに来たアフリカ難民が、南テルアビブに流れ、その地域が犯罪の巣窟となっている。
しかし、こうしたアフリカ難民の多くはクリスチャンである。南テルアビブでは、カリスマ派から伝統派まで様々なキリスト教の礼拝が毎週行われている。
先週、イタリア沖で300人が死亡したが、多くがエリトリア人だった。南テルアビブのエリトリア人たちは集まって追悼の集会を行い、祈りを捧げた。
日本人へ 国家と歴史篇 6/6~欧米的とは?
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