ガザ国境でパレスチナ人デモ1000人:東京パラリンピックに出場のガザ出身陸上選手 2021.8.26

ガザ国境のデモを管理するハマス スクリーンショット

21日(土)ガザとの国境で暴動が発生し、対処にあたった国境警備員のバレル・ハダリア・シュムエルさん(21)が頭に銃撃を受けて重症を負い、パレスチナ側でも41人が負傷。1人は後に死亡したとの情報も入っている。死亡したのは、ハマスのメンバーであったことがわかっている。

イスラエル軍は、再びガザとの大きな衝突になる可能性を踏まえ、国境に戦車隊と射撃種を含む軍を増強していた。

その後、ガザからは、火炎風船による攻撃が行われたため、イスラエルは、再びハマスの武器庫を空爆する反撃を実施した。

その4日後の25日(水)、1000人に及ぶパレスチナ人がガザ国境に集まり、タイヤをもやしたり、国境に向かって走ってくるなどの動きに出た。イスラエル軍は、死傷者を出さないよう、催涙弾や威嚇手榴弾ほか、前より弱い実弾使って対処したもようである。この衝突で負傷したパレスチナ人は14人。

しかし、興味深いことに、今回は、ハマスメンバーの多くが黄色のベストを着て、暴動をコントロールしていたことである。

www.timesofisrael.com/serious-violence-averted-as-over-1000-palestinians-protest-on-gaza-border/

なぜ今、こんな暴動が発生するのか。主な理由として考えられているのは、イスラエルが建築用物資の搬入をかなり制限していたこと、またカタールからの現金至急が遅れたことなどが考えられている。しかし、カタールからの現金は、国連が間に入って、すでにガザに入ることになっている。

ただ、この現金は、ハマスメンバーには至急されないしくみになっているので、ハマスが怒って、暴動を扇動しているとも考えられるが、イスラエル軍は、ハマスも、今は大きな紛争にしたいとは思っていないと判断しているもようである。

アメリカは、ハマスが、暴動を扇動しているとして、これらの暴動の責任はハマスにあるとハマスに伝えたという。

<ガザ出身のパラリンピック陸上フサム・アザム選手(45)>

ガザとイスラエルの間には同じような状況が延々と続いている。今も国境で、暴動を若者たちには、将来への希望がほとんどない。ガザに生まれたばかりにである。イスラエルとしても、もはやどうしたらいいのかわからないというところなのだろう。

とりあえず、暴れているガザの子供たち、若者たちをできるだけ傷つけないようにしながら、イスラエルへ入ってくるのを防ぎながら、自国民を守りながら、相手の出方を見守るしかない。

こうした中、今東京で行われているパラリンピックには、ガザ出身の重量挙げ、フサム・アザム選手(45)が出場している。

アザム選手は、ガザ地区で生まれ、3歳のときからポリオで両足が動かなくなった。その後、パレスチナ人では、2000年シドニーパラリンピックで、パレスチナ人として初めて出場。砲丸投げで銅メダルを獲得した。2004年のアテネでは銀メダルを獲得した。

しかし、2008年の北京パラリンピックに出場後、ガザとイスラエルの戦争になった。一時避難した後家に帰ったら家が、イスラエルの空爆で崩壊し、かろうじて最初の銅メダルだけをみつけることができたという。

その後、両親が他界し、妻が出産の時に子供と共に死亡したり、多くの家族が死亡した悲しみの中で、2009年からスポーツからはいったん身を引いていた。しかし、2015年からスポーツに復帰。2016年のリオ大会から復帰している。ガザの子供達、若者たちへの励ましになってくれることを願いつつ。。。

olympics.com/tokyo-2020/paralympic-games/en/results/athletics/athlete-profile-n1731148-azzam-husam-f-a.htm

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。