スモトリッチ経済相が、東エルサレムへの開発資金と、全国アラブ地方自治体への増額予算を凍結すると爆弾発言をして物議になったことを覚えておられるらろうか。幅広く全国からの批判を受け、ネタニヤフ首相は、アラブ自治体への増額送金は必ず行うと、これに同意しないとの意思表示をしていた。
ところが蓋をあけてみると、最終的には、東エルサレムの開発(アラブ系住民へのヘブライ大学奨学も含む)に、5年間に32億シェケル(約120億円)の予算を投じることにはなったが、前政権が約束していた国内アラブ人自治体への増額予算2億シェケルは凍結すると発表した。
東エルサレム開発資金は、当初スモトリッチ経済相が提示していた25億ドルより、増えた形である。資金は、インフラ整備や住居、教育医療などに使われる。スモトリッチ経済相は、これを認めたのは、イスラエルの東エルサレムの支配力を強化するためだと説明している。
一方、アラブ自治体への増額予算凍結は、自治体に資金を送っても、治安の回復にはつながらず、逆にマフィアなど流れる可能性があるというのが理由である。
この発表がなされたのは、21日だったが、この日、アラブ人たち約400人が、2時間と枠組みを決めて、エルサレムの首相官邸前でデモを行うと同時に、全国的に自治体や、学校を休校にするなど、大規模な「警告ストライキ」を行っていた最中のことであった。
そうした中で、アラブ自治体への増額資金凍結が発表されたということである。アラブ政党ハダシュのアイマン・オデ氏の怒り狂った様子が報じられていた。
<石のひとりごと>
確かにアラブ人地域での殺人事件は、人が死んでいるにも関わらず、犯人逮捕記事は見たことがない。アラブ人同士の喧嘩なのだからと、どこか無関心なところが、ないとは言い切れないだろう。逮捕されないままであれば、犯罪は野放しということになる。
ぶっちゃけた話、イスラエルはユダヤ人の国なのだという意識が、国の中にはあるということなのだろう。しかし、アラブ人の多くは、イスラエルで生まれ育っているので、その人々にとっては、イスラエルが祖国である。
しかし、イスラム教徒である以上は、従軍して奉仕できないというような、国に信頼されていないといった思いも通らなければならない。また犯罪も野ばなしにされていると感じる場合、殺されてもかまわないと言われているようでもある。
ユダヤ人とは正反対の「国に必要とされていない。むしろ出ていくことを望まれている。」という、そんな思いをしているのが、イスラエル在住のアラブ人であるということなのである。
悲しいかな、右派政権でその傷はさらに深まっていくことになりそうである。