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激増するアラブ人社会での殺人事件(犯罪関連)
これまでなかなかお伝えできなかったが、今、イスラエルでは、国内のアラブ人社会で頻発する名誉殺人に加え、麻薬、ギャング内の報復など様々な犯罪からくる殺人事件が後をたたず、今年に入ってからの半年の間だけで、犠牲者は102人となった。
昨年中のアラブ人の殺人事件での犠牲者は106件だったので、今年は半年ですでにその数に達しているということである。
最近では、6月8日、イスラエル北部のナザレ近郊のアラブ人の町で、銃の乱射事件があり、5人が死亡するという凶悪犯だった。そのわずか20分後に、別のアラブ人地区で1人が射殺され、この日だけで6人のアラブ人が死亡した。
イスラエルの殺人事件の犠牲者は、70%以上がアラブ系市民である。イスラエル総人口に占めるアラブ人の割合は21%なので、アラブ人の間での治安の悪さは突出しているといえる。
問題は、それらが全部犯罪者によるものでなく、誤って殺されたり、巻き添えで死亡するケースもあるという点である。
アラブ系市民たちは、明らかに、アラブ系市民が犠牲になっている事件の場合、捜査は不十分で、解決にまで到達したのは、23%にすぎないと訴えている。きちんと罰せられないので、犯罪はさらに野放しになるという悪循環だと訴えている。
もはや警察はあてにならない。ユダヤ系市民だけを守ろうとするイスラエル政府の人種差別だとの非難が高まっている。
こうした現状については、前政権では、アラブ政党ラアム党(アッバス党首)が、政権入りし、政府に介入を求めたのであった。しかし、現実的には対処は間に合わず、この現状に至ったということである。
警察長官のツヴィ・シャブタイ氏は、アラブ人社会での犯罪が急増していることについて、大規模な犯罪が発生した場合、今の警察では、人員数も設備も不足していると指摘した。
その後、警察庁を傘下に置くベングビル氏が、対処すると表明すると、その直後に、イスラエル警察の中で、アラブ系住民を担当するナタン・ボズナン副長官が辞任を表明した。よほどベングビル氏の元では働けないと判断した可能性も指摘されている。
ネタニヤフ首相は、警察にシンベト(テロ事件を扱う国内治安組織)が応援に出る形の検討を開始すると言っている。
www.jpost.com/israel-news/article-745905
退役警察長官ら6人がベングビル氏更迭をネタニヤフ首相に要求
9日、元警察長官6人と警察関連高官42名が、国家安全保障相として警察庁を管轄下におく、ベングビル氏は、イスラエルの安全にとってふさわしくないとして、更迭するよう訴える書簡に署名し、ネタニヤフ首相に提出した。
これまで警察は、独自の判断で動いていたが、新政権になってからは、国家安全保障省という新しい象徴の下に入ったことから、ベングビル氏の指示下に置かれている状態にある。
しかし、ベングビル氏は、極右政治家であり、アラブ系市民の間で殺人事件が増えていることについて、「それがアラブの本質だ。」などとアラブ人を軽視する問題発言もあり非難の的となっている。
書簡には、国内で、これまで以上にテロや犯罪が増えている中、優秀な警察官やその長官たちが、ベングビル氏の指示には従えないとして、辞職しているとして、ベングビル氏をそのままにしておくことはイスラエルの治安を脅かす可能性があるとまで言っている。
元警察庁長官たちは、現警察長官のコビ・シャブタイ氏についても、決断がゆらいでおり、その任務に相応しいかどうかは疑問と表明している。
www.jpost.com/israel-news/article-745915
イスラエルの警察は今、混乱しているようである。
石のひとりごと:右派政権の影響じわじわ?
右派政権の本心は、イスラエルをユダヤ人の国にすることなので、アラブ系住民は、あまり歓迎される存在ではないといいう感じもしないでもない。
それが警察の仕事にまで影響しているとは言わないが、そうした意向は、社会のところどころに出始めている。
外国人のイスラエルでの滞在ビザ取得は年々難しくなっており、イスラエルをユダヤ人の国として設立していきたい思いが滲み出ている。
観光ガイドの免許だが、内務省が、イスラエル国籍がない、外国人ガイドの場合、イスラエル人と同様に、正規の学費を払って2年のコースを受講し、国家試験もすべて正規の道を通ったとしても、イスラエル人と同じ正規の免許は出さない方針を固めたもようである。
今後は、ツアーリーダーという、ガイド許可証のようなものに変わると言われている。(まだ通過期間)