嘆きの壁は、男性と女性にセクションが区切られている。しかし月曜、イスラエル政府は、男女が混じってもよい3つ目のセクションを新たに設置する方針を固めたことを明らかにした。
新しいセクションは、神殿の丘への通路、ムグラビゲートの南側で、既存の嘆きの壁プラザよりは低い位置にある。入り口は一つになるものの、既存のプラザとはつながっておらず、別の場所という感じになるみこみ。
嘆きの壁は、これまで、政府の保護の元、正統派が独占で管理してきた。そのため、男性と女性が同席して礼拝したり、女性のラビも認める改革派や保守派は、嘆きの壁で、独自の儀式をする事ができなかった。
最近では、Woman on the Wall(女性でキッパをかぶり、トーラーを読んだりする教派)と呼ばれる一派の女性ラビが、デモもかねて、嘆きの壁でトーラーを読み、警察に連行されたりする事件が発生していた。新しいセクションができれば、こうした衝突もなくなる。
今回、政府がこの方針を発表したのは、国会において、ユダヤ教政党(正統派)が、拒否権を発動せず、これが最善ということで受け入れたからである。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4760088,00.html
<イスラム・ワクフは反発>
しかしながら、イスラムはこれに反発している。3つ目のセクションができた場合、ユダヤ人が祈る部分の壁の範囲が拡大することになる。
イスラエル政府の発表を受けて、パレスチナ自治政府は、「ハラム・アッシャリフ(神殿の丘)への侵害にあたる。」として反発した。
エルサレムのグランド・ムフティ(エルサレムのイスラム教トップ)シーカー・モハンマド・フセインは、「その拡張する部分は、アルアクサモスクに属する部分で、イスラムの土地だ。これは、イスラムの聖地に対する敵対し、エルサレムをユダヤ化しようとする行為だ。」と訴えている。
*神殿の丘とユダヤ人は無関係か?
イスラム教は、ハラム・アッシャリフ(神殿の丘)は常にイスラムのものであり、ユダヤ人には何の関係もないと主張している。しかし、歴史的にも考古学的にも、聖書に書かれてるユダヤ人の神殿が、そこにあったことは明らかである。
また、1967年の六日戦争で、予想外にもアラブ5カ国軍がイスラエル軍に敗北し、神殿の丘は、いったんユダヤ人の手中にあった。にもかかわらず、当時のイスラエル軍総司令官モシェ・ダヤンが、あえて彼の方からイスラムのワクフに譲り渡したことで、今、イスラムの管理するところとなっただけである。
いわば、イスラエルの政策上そうなったということであって、神殿の丘とユダヤ人には何の関係もないとはいえないはずである。
しかし、テロが頻発している昨今、今回の措置が火に油を注ぐ結果にならないかとも思う。実際のところ、この案が実現するかどうか、注目するところである。