昔からイスラエルとパレスチナの間に和平交渉が進みそうになると、テロや紛争が起こる。今回も、オバマ大統領が来て、2国家解決へテコ入れし始めて以降、西岸地区で激しい衝突が発生している。
今回の引き金は、2日朝、イスラエルの刑務所で服役中だった63才のパレスチナ人アブ・ハマディアが癌で死亡したことだった。
アブ・ハマディアの死亡を受けて、全国の刑務所と西岸地区などで暴動が発生。3日には、イスラエル軍に火炎瓶を投げつけた少年4人との闘争で、2人(17,18才)が死亡した。
ヘブロンでは4日、アブ・ハマディアと上記2人の葬儀が行われ、群衆が叫びながら葬列に加わった。これに合わせて、若者らが、イスラエル軍に石や火焔瓶をなげたり、タイヤを燃やすなど深刻な暴動に出た。イスラエル軍もこれに応戦した。なお、5日現在は落ち着きをとりもどしているもよう。
<冷たいメディアの反応>
アブ・ハマディアが癌と診断されたのは2月。パレスチナの新聞は、死因はイスラエルの誤診と誤薬だと伝えたという。また末期癌なのだから、診断された時点で、刑務所から解放するべきだったとも訴えている。
刑務所でパレスチナ人受刑者が病死するのはここ数ヶ月の間で2回目。この状況に関して、世界のメディアの多くはイスラエルに厳しい視線を送っている。しかし、アブ・ハマディアはイスラエルではトップクラスのソローカ・ホスピタルで治療を受けていたのである。
<ガザにハマスより危険な分子登場!?>
西岸地区のこうした動きに賛同するとして、4日、ガザから再びイスラエル南部にロケット弾が着弾した。(人的物的被害はなし)
この犯行はハマスによるものではなく、ハマスよりさらに過激な「サラフィスト」と呼ばれるグループによるものだった。ハマスは犯人2人を逮捕したと報じられたが、後にハマスはこれを否定。イスラエルへの”抵抗運動”は奨励すると言った。
<ケリー国務長官、中東での仲介開始予定>
西岸地区での紛争の報告が入っているが、来週早々にもケリー米国務長官がエルサレムに戻り、イスラエルとトルコ、イスラエルとパレスチナの実際の交渉仲介に入る予定になっている。
今朝のニュースだが、アッバス議長はこれに備えて、国連その他で展開している様々な一方的な(イスラエルの合意なし)手続きを2ヶ月間、停止すると述べた。