命の選択:医療崩壊のニューヨーク市 2020.4.18

ニューヨーク・マンハッタン 出展:wikipedia

世界パンデミックの動向:欧米からアフリカ大陸後進国へ拡大中

新型コロナによるパンデミック。感染者は225万人を超え、死者は15万4266人。現在、地球の人口77億人のうち、その半数以上の45億人が自宅にこもることを余儀なくされている。

これまでで、最も死者を多く出しているのは、アメリカ3万6773人、イタリア2万2745人、スペイン1万9613人、イギリス1万4576人。(ジョンズ・ホプキンス大学)。しかし、これらの国々では、新たな感染や死者も減少傾向にあり、まだ油断はできないものの、ピークは過ぎたとも言われている。

一方で、医療・経済すべてにおいて後進であるアフリカ諸国に感染が拡大しはじめている。WHOは、アフリカだけで、死者は少なくとも30万人、最悪で330万人が死亡。3000万人が、極度の貧困に陥るとの試算を発表した。

www.bbc.com/news/world-africa-52323375

アメリカの現状:ニューヨーク市だけで死者1万人以上

アメリカでも最も被害が大きいニューヨーク市では、単独で感染者が12万2148人。死者は、7890人に、自宅でコロナかどうかも不明のまま死亡したが、おそらくはコロナによる死者4309人を加えて、計1万2199人となった。

ニューヨーク州全体の死者が、8893人なので、死者がニューヨーク市に集中していることがわかる。(ニューヨーク市保健局)

www1.nyc.gov/site/doh/covid/covid-19-data.page

イスラエルと同様、アメリカでも高齢者施設の犠牲者が深刻である。死者の5分の1は高齢者だが、ニューヨーク市では、25人以上の死者を出した高齢者ホームが14件以上あるという。

トランプ大統領は、今、アメリカでの新たな感染者が落ち着き始めていることを受けて、少しづつ、経済活動の再会ができる州から始めると言っている。

ニューヨークでも感染者数は減少傾向にあるが、クオモ州知事は、まだ経済活動の再会はありえないとして、封鎖を5月15日まで延長すると発表した。

www.nytimes.com/2020/04/16/nyregion/coronavirus-new-york-update.html

医療崩壊:命の選択

ニューヨークでは、医療崩壊に陥っているがゆえに、ここまでの死者が出ているわけである。検査の不足と、人工呼吸器の不足で、助けられる命も助けられなくなっている。

病院では、重症化した際に、気管支チューブを挿管する前に、患者本人の意思を確認するという。挿管しないでよいという人は、そのまま死に向かう。本人の意思が確認できない場合は、家族の聞くという。まさに命の選択である。

かつて、アメリカのホスピスで働いていた時、一晩に3人の患者さんが、召されるという夜があった。1人見送ろうとしていると、別の部屋の患者さんの呼吸が止まりそうになる。1人見送ったら、また1人・・・私たちは、この状態を「バスが来た夜」と言っていた。

多くの人を見送るホスピスでさえ、一晩に3人を見送った夜は、「もう連れて行かないで」と言いたかった。救いを信じているクリスチャンであってもである。

それなのに、呼吸器さえあれば助かるという人々を見送る医師たちの思い、また何十人も毎日見送って行かなければならない看護師たちの心は、どうだろうか。もはや麻痺しているかもしれない。

不気味:トランプ大統領と中国への敵意

トランプ大統領は、アメリカで、膨大な数の人命と、経済崩壊が始まっていることについて、怒りを隠せない。中国から始まったとするコロナウイルスの感染拡大を、WHOと中国が隠蔽したと非難している。

アメリカが中国を警戒するには他の理由もある。東アジア方面で、展開していたアメリカ海軍の空母、セオドア・ルーズベルト(戦闘機70機)から、コロナ感染者が発生し、動きがとれなくなっている。

この空母からは、艦長のクロージャー大佐他600人(乗組員5000人)がコロナに感染し、死者も1人出ている。

www.foxnews.com/world/chinese-aircraft-carrier-taiwan-us-navy-coronavirus

その横で、10日、中国海軍が、沖縄と台湾付近で訓練を行い、台湾軍がスクランブル発進するという事態になった。これは日本にとってもまったく他人事ではない。

headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200416-00060169-jbpressz-int&p=2

アメリカが苦しんでいる中、中国が世界に進出し始めている。トランプ大統領が、アメリカの回復を急いでいることも理解できる。これからアメリカと中国がどうなっていくのか、不気味な感じである。

死の恐怖の中で:Times Square Church/ カーター・コンロン牧師

ニューヨークで死が蔓延し、自分の明日もあやうくなっている現状の中で、死を考えている人は少なくない。そうした中、先週12日は復活祭であった。

Times Square Church では、カーター・コンロン牧師は、ヘブル書2:9−15から、死を克服したキリストについて述べ、「頼むから聞いてほしい。」と言いつつ、まだ救われていない人々へ、真剣にダイレクトに福音を語った。

石のひとりごと

何度も書いているが、日本の医療の現状は、ニューヨークより悪い。兵庫県の筆者の近所の人々は、手術や検査の予定をすべて秋以降に延期された。日本の医療崩壊はもう目の前だ。

ニューヨークで起こっている事は、容易に日本でも起こる。ニューヨークのように、命の選択をしなければならないようなことにもなってくるかもしれない。いざとなった場合に備え、挿管(呼吸器装着)するかどうか。これまでにもまして、家族で話し合っておく必要があるだろう。

一方で、こういう時だからこそ福音が語りやすい。いつ死ぬかわからない。次回また会えるかどうかもわからない。先日も同級生たちに福音を伝えることができた。彼女たちも聞いてくれていたと思う。

聖書になじみのない方にお知らせするが、聖書によると、まず、この世は必ず終わる。その前に、地球は前代未聞の困難な7年間を迎える。今のコロナの困難はおそらく、その助走にしか過ぎないだろう。

聖書によると、その困難な7年間とともに、キリストがこの地上に戻ってくると書いてある。これを再臨という。

キリストの再臨は、2段階あって、まず最初にキリストを信じている人を迎えにくる。これを軽挙という。そうして、いよいよ世の終わりに、地上に戻ってきて、世を一掃するのが再臨である。

筆者はこれを「水戸黄門の最終のシーン」だと説明する時がある。キリストが戻って来るとき、聖書の神とキリストの救いが、事実であったということが、誰の目にも明らかになるからである。

軽挙がいつあるのか、再臨がいつあるのか、7年間の艱難の前か中か、後なのか、キリスト教会では、常に論議になってきた。これまで、キリストの再臨ということは、論議であって、どうにも現実感なかったが、今は、現実味を帯びてきた気がする。

筆者は、かねがね軽挙は、艱難中ではないかと思っていた。しかし、今は、ぜひ前であってほしいと思っている。キリストに、確実で現実的な救いがある。まだ知らないでいる方は、ぜひ、連絡ください。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。