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パンデミック続くもカーブはなだらかに向かう?
過越を迎えたイスラエル。7日から8日にかけての24時間の感染者は、351人以上増えて、計9755人。死者は6人増えて計79人。人工呼吸器に依存する患者は119人。
イスラエルでは、検査キットの不足が問題となっていた。これについて、防衛省、保健省、外務省が協力し、韓国で多量の検査キットと医療用防護服を購入。8日、イスラエルに到着した。このほか、イスラエルは、中国からも検査キットを輸入する契約を結んだと伝えられている。
まだ終わったわけではないのだが、厳しい外出制限と、それを国民が遵守していることもあり、感染のスピードが緩やかになってきはじめたと専門家は、まだ油断できない中での見通しを語っている。
www.ynetnews.com/article/Hyf0xV2w8
しかし、これまでに死亡した中で、10人が、ベエルシェバの高齢者ホームミシュハン在住者であることがわかった。この中の1人、シモン・レインジルバーさん(97)は、ポーランドでホロコーストを生き延び、1949年に最初の17家族の1人として、イスラエルに帰還した人であった。
シモンさんは、新型コロナに感染し、最後はだれも看取る者がいない状態で死亡した。家族は、ホームに問題があったのではないかと不満を訴えている。
www.jpost.com/israel-news/family-of-covid-19-victim-slams-nursing-home-state-run-death-camp-624022
このように、厳しい状況が続いているが、イスラエルでは8日、病院でも過越のセダーが行われた。
www.ynetnews.com/article/UITEJBP8U
過越第一夜の様子
過越が一夜明けた今、各地で過越を祝うイスラエル人の様子が入ってきた。テレビでは、ネタニヤフ首相はじめ、多くの有名人が参加して、国をあげてのセダーが行われた。ひとりで過ごす人がないようにとの催しである。
チャンネル12 Youtube より
テレビや、ズームで遠方の人々とセダーを祝った人もいたが、バルコニーに出て、皆とともに歌ったり、声をかけあったりしていた。
Zahi Shaked. Israeli tour guide צחי שקד. מורה דרך Youtube より
おもしろいのは、ベエルシェバのある地区。一つの通りに住む人々が、それぞれの家の前の通りに、過越のセダーテーブルを設置して、式次第は、一箇所でマイクを使って進めるセダーである。この緊急事態にあっても、地域の人たちがともに過越を祝っていた。
ロックダウンを守るため、大勢の警察官が、道路の封鎖を行っているが、警察官が、マイクで、「We love you!」と人々の過越の祝福を叫んでいる様子もある。
www.ynetnews.com/article/HyxLqsoDI#autoplay
イスラエル軍は、外出制限が厳しくなったこのひと月あまり、だれも困った人がないように、食料を配布していたとのこと。エルサレムでは、2箇所の配給センターから、過越が始まる直前まで、食料の配給が行なっていた。
Live with LTC Jonathan Conricus in Jerusalem
LTC Jonathan Conricus is in Jerusalem with Home Front Command Brigade Commander Col. Sharon Gal to update you on the IDF's efforts to assist Israeli civilians during #COVID19.
Israel Defense Forcesさんの投稿 2020年4月7日火曜日
イスラエル人柔道選手が黒帯を売って献金
イスラエル人のオリンピック柔道選手で、2019年には世界選手権を獲得したサギ・ムキ選手が、自身のユニフォームや、黒帯などを売って、故郷の町ネタニヤに献金した。町のラニアド病院が、人工呼吸器を購入できるようにするためである。
これまでに5万シェケル(150万円)集まったという。少なくとも人工呼吸器5台を購入できる。ムキ選手は、東京オリンピックに出場する予定だったが、延期になったこともあり、ネタニヤの家にいるという。練習は続けているとのこと。
別件になるが、ムキ選手は、イランからドイツに亡命したイランの柔道選手サイード・モラエイ選手(27)と友人関係にある。モラエイ選手は、2019年の世界選手権で、ムキ選手との対戦時、イラン当局にボイコットを強いられた選手である。ドイツに亡命後、ムキ選手とも面会している。
www.ynetnews.com/culture/article/SyWqCXoPU
ユダヤ人たちの結束というものは、本当に不思議だと思う。普段は言い争いばかりしているのに、危機になると、とたんに互いをいたわり合って一致する。高齢者には特に敬意を払っている。ユダヤ人だけにある独特の結束である。
ワルシャワ・ゲットー滅亡直前の過越
ホロコーストの時代の1943年4月18日、ナチスドイツは、ワルシャワゲットーで蜂起して生き延びていたユダヤ人を一掃するべく、軍隊を進ませていた。ユダヤ人を撃滅する日としてナチスが選んだ日は、過越であった。ナチスが撃滅しようとしたのは、ユダヤ人だけでなく、ユダヤ人の信仰をもなきものにしようとしたのであった。
明日いよいよナチスドイツがなだれ込んでくる前夜、ワルシャワゲットーの若者たちは、過越のセダーを祝った。
この時、リーダーのモルデカイ・アニエレビッツ(24)は、「ユダヤ人が、立ち上がったのを見ることができて満足だ。我々は明日死ぬ。しかし、ユダヤ人は死なない。」と言ったという。その言葉の通り、今イスラエルはあるが、ナチスドイツはもう存在していない。
石のひとりごと
ユダヤ人たちは、ホロコーストの時代で餓死者が出ている中でも、どうにかして、マッツア(種無しパン)を用意し、互いに分け合い、この例祭を守り続けた。あのアウシュビッツでさえ、新年の時には角笛をどうにかして調達し、らっぱを吹いたのであった。
ホロコーストという、まったく神に見放されたような時にも、ユダヤ人はこの神に命じられた例祭を遂行した。このユダヤ人と神の、目にはみえない互いのつながりは、本当に独特のものだと感じる。それは関係なのであって、利益とはまったく無関係のものである。
「わたしはある。」これがイスラエルの神の名なのである。とはいえ、ただの服従でもない。ユダヤ人にとっては、存在する神なのである。ユダヤ人、そしてイスラエルをみれば、この聖書の神がおられることへの確信と、どこまでもあきらめずに進み続けるユダヤ人の姿にいつも励まされている。
まことに、私たちの神、主は私たちが呼び求めるとき、いつも近くにおられる。このような神を持つ偉大な国民がどこにあるだろうか。(申命記4:7)