世界3大宗教の施設も閉鎖:イスラエル感染者2369人:死者5人 2020.3.26

神殿の丘・黄金のドーム 出展:Wikipedia

新型コロナ感染拡大で新たな規制発令

25日、イスラエルでは、あらたに4人の死者が出て、亡くなった人の数は5人となった。26日、感染者の数は、検査する数が増えたこともあり、さらに300人以上増えて、合計2369人となった。感染者の重症化も進んでいる。

ネタニヤフ首相は、25日夜、新たな行動規制を発表。守らない場合は罰金を科すこととなった。今回は、どこまでの規制かというと、市内バスの数が25%にまで減らされ、外出は、自宅から100メートル以内に限るなどである。

それでもまだ感染者が増えるようなら、国の封鎖もありうると、ネタニヤフ首相は、市民たちに強い警告を発した。

www.timesofisrael.com/from-5-p-m-wednesday-no-walks-farther-than-100-m-from-home-synagogues-shut/

世界3大宗教施設も閉鎖

1)ユダヤ教シナゴーグ閉鎖・過越セダーはオンラインで

統計によると、シナゴーグを介して感染したケースが、25%にのぼるとの結果が出た。シナゴーグやイシバは、政府の指示に従い切らず、まだ集まる傾向があったからである。

www.i24news.tv/en/news/israel/1585084812-coronavirus-a-quarter-of-israelis-caught-infection-at-synagogue

また、政府の行動規制が強化されたことから、イスラエルの2人のチーフラビ(アシュケナジ、スファラディ)は、基本的にシナゴーグ閉鎖することを決めた。ただし、男性たちが10人集まったら、ともに祈る”ミニヤン”を、屋外ですることは許可した。その場合、互いの間を2メートル開けるようにと指示している。

www.jpost.com/judaism/Chief-rabbis-ban-prayer-in-synagogues-over-coronavirus-crisis-622290

また、ユダヤ教の主要なラビたち14人は、来月に迎える過越の祭で、大人数で集まって祝うことを禁止。オンラインでつながって祝うことを許可すると発表した。

www.jpost.com/Israel-News/Raabis-approve-the-use-of-ZOOM-to-celebrate-passover-due-to-coronavirus-622221

オンラインということは、電力を使うとか、サイトを開けるといった”労働”を安息日、特に労働が厳密に禁止される例祭期間中に行うということである。これはユダヤ教にとっては、大きな決断である。ラビたちは、今のコロナ危機にあって、律法をとう対応するかに追われている。

かつてホロコーストの時代に、ユダヤ教ラビたちは、ナチス支配下で、律法をどう守るかを考えざるをえなかったと聞いている。予想外のことが起こって、律法を柔軟に対応させるということもユダヤ教は経験してきたのだろう。

2)神殿の丘入場禁止・モスクも閉鎖

イスラム教でも、大勢が集まるモスクは閉鎖されている。神殿の丘(ハラム・アッシャリフ)への入場も禁止となった(ヨルダンのワクフ決断)。

www.haaretz.com/israel-news/.premium-israel-jordan-consider-closing-temple-mount-to-worshipers-over-coronavirus-1.8699258

3)ゴルゴダの丘・聖墳墓教会閉鎖

聖墳墓教会は、イスラエル政府の指示と、パレスチナ人の間でも死者が1人出たことを受けて、通常なら動くこともできないほどの観光・巡礼者で混み合う聖墳墓教会の扉を閉めた。来月にはイースターがあるが、どうなるのか注目される。

www.timesofisrael.com/jerusalems-church-of-holy-sepulchre-closes-as-israel-ups-anti-virus-measures/

目に見えない”敵”と戦う警察官たち

友人の息子ベンジャミンさんは、通常ならテロリストを取り締まる主にエルサレム旧市街の警察官。今は、許可なく外出している人や店を取り締まる警備もあるため、以前にもまして忙しいとのこと。息子が帰宅してもハグできないと言っていた。

イスラエル人は通常、警察官を信頼し、感謝しているので、彼らには喜んで協力しているとのことである。

www.jpost.com/Opinion/The-publics-resilience-in-the-face-of-the-coronavirus-pandemic-622305

市民の日常

規制は厳しくなったとはいえ、実際の生活では、歩行距離にあるスーパーには買い物に行けるし、病院受診など最低限のことはできる。知人友人は、ツアーガイドが多いせいか、普段離れ離れになっている家族とともに過ごせる日々を、楽しんでいるとのことであった。どの人も、悲壮感はない。

IT関係や、オフィスワークの友人たちは、家から仕事をしている。まだ生活にそれほど不便はないとのこと。子供たちは、一時、教師のストがあったが、またオンライン授業に戻っている。

孫が生まれ、娘のに家は5分のところにあるが、感染を避けるために訪問は控えているとのこと。まだ実際の子供の顔をみていないという人もいた。

しかし、家に、家族がいる人はいいが、孤独な人々が気にかかる。国際クリスチャン団体で、日本にも支部があるブリッジス・フォー・ピースは、貧しい人々の食料を届ける働きを50年以上つづけている。外出規制が出た後も、活動を継続できているとのことであった。

www.bridgesforpeace.com

失業率さらに増大20%へ

3月から失業して、失業保険を申請した人は65万7876人。コロナ危機からすると80万人が失業し、失業率は、ほぼ20%となった。国家雇用局は、来月の過越のまつりまでに、100万人が職を失うと予測する。

www.timesofisrael.com/israel-unemployment-rate-nears-20-with-some-800000-registered-as-out-of-work/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。