イスラエルは、ハイテク、IT部門で、世界一の”スタートアップ・ネイション”と呼ばれている。
”スタートアップ”とは、新しいアイディアを駆使して新しい技術-特にIT技術-を開発し、ベンチャー企業を興す。それを大手が巨額に投資、買い上げるというしくみである。10数人の会社で数億ドルを稼ぐ。
イスラエルは、年間800以上のベンチャー企業が立ち上がり、次々に大手企業の投資を勝ち得ている。イスラエルは、アメリカに次いで、世界第2位のスタートアップ国である。
第二位とはいえ、アメリカとイスラエルでは、国のサイズが全然違う。イスラエルはたった800万人の国だ。実質的には、イスラエルが世界一、頭脳のそろった国だということである。その頭脳たち、ITのスタートアップ企業が集まっているのが、テルアビブである。
先週、ゲイ・パレードの報告をしたテルアビブだが、今週は、ITをはじめとする様々な分野の国際会議、カンファレンス、展示会などが目白押しとなって開催された。
1.サイバー・カンファレンス-テルアビブ大学
最近では、政府や軍事関係を含む社会のすべてがITで管理されているため、これを錯乱することで、敵国の経済や、政府、軍部を攪乱することができる。これをサイバーテロ、サイバー戦争と呼ぶ。
今や実際の戦闘より、サイバー戦争の脅威の方が実は、深刻になりはじめている。外から情報を操作するだけで、国や軍の機能、経済の錯乱、核兵器を発射させることも理論上は可能なのである。
タイムリーにも、このカンファレンスが始まる直前に、アメリカ政府が中国からのハッキングで大きな打撃を受けて、問題となったところだった。また、イランでも、核施設がサイバー攻撃によって、ダメージを受けたとの報告が入っていた。
世界一のITスタートアップの国、イスラエルは、当然、この分野に最も力を入れている。つまりハッキングや、ウイルスに対処する技術の開発の最先端はイスラエルである。この分野を専門に勉強する高校生たちのプログラムを国が行っている。イスラエル軍にはサイバー部隊がある。
毎年開催されるこのカンファレンス(今年3回目)には、今年も世界のエキスパートはじめ、約1500人が参加、ネタニヤフ首相、ペレス大統領もスピーチを行った。
2.防衛技術、医療技術の展示、商談会-テルアビブ・エキシビションセンター
まずは防衛関係の展示。イスラエルは防衛技術の最先端である。最新式の銃、ドローン(無人航空機)、レーダー、ジープ、爆弾に強いシェルター、ガスマスクなどが展示され、イスラエル軍からも買い付けに来ていた。
その他、インスタントにできる仮設住宅、太陽光で動く水の浄化装置(放射能汚染は含まない)と水の配給システムなど(1日に5万人分)、戦時下だけでなく、災害時にも使える技術も展示されていた。
この他、最先端医療技術の展示も行われた。こちらは、多くのイスラエルのスタートアップの会社がブースを出し、50カ国以上の投資企業を招いての会議だった。中国の投資会社からは最大200人ほどが参加し、商談が展開されていた。日本企業は参加なし・・。
3.銀行頭取たちの国際会議-テルアビブ大学
テルアビブ大学では、今週、銀行の頭取たちが集まる経済の会議も行われた。イスラエルの経済だけでなく、世界経済についての国際会議だった。