世界が非難するガザUNRWA学校空爆・40人以上死亡?:イスラエルは攻撃詳細と死亡したハマス17人を公表 2024.6.8

6日・7日にUNRWA学校続いて2ヶ所攻撃:テロリスト17人死亡

イスラエルは、6日早朝、ガザ中央ヌセイラットで、20-30人のテロリストが潜んでいたとして、UNRWA(パレスチナ難民救済事業機関)への空爆を実施した。

この学校は、民間人の避難所になっていたことから、UNRWAは、この攻撃で、少なくとも35-45人が死亡したと発表。日本を含め、世界は、“ジェノサイド”だと一斉にイスラエルを批判した。

イスラエルのハガリ報道官は、攻撃は、教室3部屋と、非常に焦点の当たった攻撃であり、攻撃を2回延期して、攻撃先に女性や子供が居ないことを確認した上で攻撃を実施したと発表。

また、この攻撃で死亡したハマスとイスラム聖戦の戦闘員は、10月7日のイスラエル襲撃に参加していた者も含め少なくとも9人。イスラエル軍は、この攻撃で、イスラエル国内での大きなテロ攻撃を、間一髪で阻止したと発表した。

この攻撃の数時間後、テロリスト3人が、ラファから、イスラエル領内へ侵入を試み、イスラエル軍と銃撃戦になった。この戦闘で、ゼイード・マザリ准将(34)が死亡。

テロリストはいったん逃げたが、まもなくドローンと、戦車の砲撃で3人とも死亡していた。イスラエル領内への侵入とテロ攻撃への試みは、確かにあるということである。

続いて7日、イスラエル軍は、ガザ市のUNRWAのアスマ学校にある倉庫で、ハマスの拠点になっているとみられる場所に焦点を当てた空爆を実施した。パレスチナ系メディアは、この「攻撃でパレスチナ人15人が死亡したと伝えた。

死亡したハマスの一部 IDF

イスラエル軍は、この攻撃で死亡したテロリストは8人と報告。2日間で殺害したテロリストは、17人と発表した。

www.timesofisrael.com/idf-says-strike-hit-hamas-command-room-housed-in-container-at-gaza-city-un-school/

IDFのハガリ報道官によると、イスラエルがUNRWA施設への攻撃を余儀なくされるのは5回目になるという。

ハマスは確かに、学校や病院、モスクを盾として利用している、これこそ戦争犯罪だと訴えた。

世界からイスラエルへの非難殺到:国連はイスラエルをハマスとともに児童人権侵害の「恥リスト」に

イスラエルの主張はほぼ無視するかのごとく、世界では、イスラエルが、国連の学校や、避難民の避難場所を攻撃したとして、いよいよジェノサイドだと批判するニュースを流した。

日本でも、この攻撃で少なくとも40人が死亡したとして、イスラエルがあたかも避難民を殺すことを目的にしていたかのように伝えた。ハマスを狙ったとの報告も伝えているが、焦点は明らかに、民間人の死者であり、その印象しか残らない伝え方であった。

国連のグテーレス事務総長は、年次報告の中で、児童への人権侵害を続けている国、いわゆる「恥リスト」とも呼ばれる、いわゆる問題児のリストに、イスラエルとハマスと同時にリストアップすると、イスラエルに正式に伝えた。

このリストに挙げられているのは、今問題のロシア、イスラム国、アフガニスタン、イエメン、ミャンマーなどである。ここに、テロ組織と認定されているハマスと並べて、イスラエルをリストアップするということは、国連に加盟している、れっきとした民主国家であるイスラエルの自己防衛の権利をいっさい認めていないということである。

また自国の兵士を犠牲にするほどのリスクをとって、ガザ民間人の巻き添えを最小限にしようとしているイスラエルの努力も、全く認めていないということである。イスラエルは、激しい怒りを表明している。

なお、ガザでの死者数は、ハマスは3万6000人と発表したが、後で、国連は病院で確実に死亡が確認されたのは、2万4000人と修正。子供の死者は、8000人とハマスは主張したが、この修正でいくと6500人である。

また死者のうち、1万5000人は戦闘員とイスラエルは主張。10月7日事件後の初期に、まだイスラエル領内にいるうちに、戦闘で死亡した、ハマスなどテロリスト1000人とイスラエルは発表している。

いわばブラックリストに挙げられたとの連絡を受けた、イスラエルのエルダン国連代表は、イスラエル軍は世界でも最も道徳的だとし、この決断にショックを受けたとして、これがハマスを助長すると述べた。また、このリストに本当に載せるべきは、グテーレス事務総長だと答えている。

www.timesofisrael.com/israel-fumes-as-its-added-to-un-list-of-shame-for-wartime-childrens-rights-violations/

石のひとりごと

これまでのイスラエルとの30年以上の付き合いを経て確信してやまないことは、イスラエルと言う国が、世界一、子供を大切にする国だと言う点である。イスラエルでは、子供は国の財産をされており、社会をあげて子育て支援を行っている。

シナゴーグや教会などの集会では、子供が大泣きに泣くなどして騒音を立てても、文句が出ている様子を見たことがない。また子供であれば、人種にかかわらず、皆顔がほころんでいる。ガザの子供でも、たとえそれがハマスの教育を受けていたとしても、子供への愛情は変わらないだろう。UNRWA学校への攻撃をイスラエルが、好んで行っているとは考えられない。

また、今月、イスラエルに行ったが、帰国時にスーツケースを明けたら、「セキュリティのためスーツケースを開けました」と伝える書類が入っていた。中が混雑しているわけもないし、パッキングした時と何も変わっていない。いわば、そんなことは言わなけば全くわからないことである。

しかし、あえて開けたことを、隠さずに通告し、謝罪し、かつ、訴えたいことがある場合の連絡先まで書いてあった。当然ながら、書いた人がわかる署名もある。

子供への愛情は、世界一である上に、これほど高度な人権への配慮があるイスラエルと、ハマスが同等に恥の国!!??ブラックリストの国!!??

イスラエルが、子供たちがまだ少なからずいるUNRWAを攻撃せざるを得ないことに、どれほどに悩まされているかと思う。そこにハマスさえいなければ、イスラエルは、攻撃しなくてもすむのである。まず、非難すべきは、イスラエルにUNRWA攻撃を余儀なくさせているハマスである。

世界はまったくおかしくなり始めているように感じる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。