レバノン国境での戦闘でイスラエル兵8人戦死 2024.10.3

IDF

レバノン国境で最初の戦死者8人

30日夜に、国境を越えてレバノン側に入ったイスラエル軍の第98師団。当初は、ヒズボラとの戦闘もなく、ヒズボラのトンネルやインフラを公開していた。イスラエル軍によると、これまでにヒズボラ関連の150箇所を摘発、破壊したとのこと。

しかし、その後は、やはり、ヒズボラとの文字通りの戦闘に直面している。2日になり、イスラエル軍は、レバノン入りしてから最初となる戦死者8人を発表した。

最大は、エゴス部隊という特殊部隊で、国境に近い村に入った時の戦闘である。エゴス部隊は、ヒズボラとの銃撃戦となり、ヒズボラは対戦車砲でも攻撃してきた。そこで6人が死亡。司令官1人と4人、計5人が重傷となった。戦死者は以下6人。

エゴス部隊指揮官エイタン・イツハク・オスター大尉(22)、同じく指揮官のハレル・エッティンガー大尉(23)、イタイ・アリエル・ギアット大尉(23)、ノアム・バルジレイ一等軍曹(22)、オル・マンツル一等軍曹(21)、ナザル・イトキン一等軍曹(21)

この一連の攻撃でヒズボラ側の死者は20人以上で、最終的には、イスラエル軍がこの地域を制圧したとのこと。

また別の場所でゴラニ部隊が負傷兵を救出しようとして2人が死亡。1人が重傷となった。戦死者は以下2名。

アルメキン・テレフェ軍曹(21)、イド・ボロヤル軍曹(21)

またこの他の地域でもヒズボラとの戦闘となり、医療部隊の兵士1人が重傷を負った。

レバノン国境では、ここに挙げられていない地域でも激戦になっているようである。ヒズボラは、マルーン・アル・ラスという村での戦闘の際、イスラエル軍最強と言われる戦車メルカバ3両をロケット弾で破壊したと発表した。オゼイダという村では、イスラエル軍に撤退させたとも言っている。

また、この間には100発以上のロケット弾がイスラエルに向けて発射されていた。

今後の予測:レバノンの村民にリタニ川以北へ避難するよう要請

国境周辺の村の一般家屋のほとんどが、ヒズボラの軍事活動に利用されているため、イスラエルは、今後、大規模に破壊するとみられる。第98師団に続いて、第36師団をレバノンへ送り込む予定である。

イスラエル軍は、これまでの作戦の前に、攻撃の対象となるレバノンの24の村に避難するようアラビア語で警告していた。今また新たに28の村へ警告を発している。

BBC

アラビア語によるこの警告では、住民にリタニ川より北へ移動するよう警告し、安心して帰宅できるようになれば、知らせると言っている。

しかし、こうした情報は、イスラエル軍の動きを敵に知らせることになり、自国の兵士たちには、大きなリスクになる。

それでも敵はヒズボラであって、レバノン市民ではないと強調しているので、民間人をできるだけ巻き添えにしないというのが、イスラエルの方針なのである。しかし、戦場では、それが兵士たちに大きすぎるリスクになっている。

ネタニヤフ首相の国民へのメッセージ

激戦が始まり、戦死者が8人も出ると、ネタニヤフ首相は、戦死者の家族に心からの哀悼を表する声明を発表。今は、イスラエルを滅ぼそうとするイランとその枢軸との戦いにある述べ、必ず南部ガザの人質を救出し、北部国境住民に安心して自宅に戻れるようにする。神の助けの元一致して、共に勝利得ることになると語った。

石のひとりごと

本格的な戦争の様相に、殺し合いという現状を思わされる。新年の朝に、21歳や23歳の息子たちの戦死を聞いた両親、家族の心を思うと頭が白くなりそうだ。大事な息子がもう二度と帰らない。会えない。いったいなんのために?あまりにも厳しい現実である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。