目次
リブリン大統領(81)は、7月7日をもって7年間の人気を終え、大統領を退任する。その前に、リブリン大統領は、訪米し、バイデン大統領(78)と、国連のグテーレス事務総長(72)らと会談した。帰国は6月30日の予定。
バイデン大統領との会談に満足:リブリン大統領
28日、リブリン大統領は、ホワイトハウスにて、バイデン大統領と会談した。リブリン大統領が訪米するのはこれが4回目である。2015年にはオバマ大統領と2回、2017年には、トランプ大統領と会談している。
バイデン大統領はオバマ政権時代に副大統領であったので、リブリン大統領はこの当時、バイデン氏をイスラエルに招くなどしていた。大統領に就任した際には、オンラインで祝辞を送っている。以下は、バイデン大統領へのメッセージ(2020年11月)
その思い出をもって、いわば、リブリン大統領は退任を前に、バイデン大統領に、「イスラエルにとってアメリカほどの友人はない。これからもどうぞよろしく。」と伝えた形である。
1)イラン問題について
これに対し、バイデン大統領は、「イランに核兵器を持たせることはない。」と述べた。それが口だけでない証として、先日、シリアとイラクの国境近くで、イラン関連施設を攻撃するよう、バイデン大統領自身が指示したとリブリン大統領に伝えた。
しかし、イラン問題について、イスラエルとアメリカのアプローチにはまだ溝がある。アメリカはイランとの核合意に戻る形でイランの動きを制御しようとしているが、イスラエルはそうした妥協がイランを制御することにはならないとして、核合意へのアメリカの復帰には反対している。
2)ベネット首相との会談を7月にも?
しかし、エルサレムポストは、ベネット首相がネタニヤフ前首相と同じ上記立場であるのに対し、ラピード外相が、この問題について、アメリカと相談していきたいという柔軟性を見せている点に注目している。
バイデン大統領は、早ければ7月中にもベネット首相をホワイトハウスに招いて話し合いたいして、準備がすすめられていることを明らかにした。
リブリン大統領は、会談後の記者会見で、バイデン大統領の姿勢に満足を表明し、「イスラエルには、イラン問題について、こちらのいうことに耳を傾け、イランとの核合意について注意深くあたろうとする、すばらしい友がいることがわかった。」と述べた。
国連本部訪問:グテーレス事務総長に偏った反イスラエル決議に苦情訴え
ホワイトハウス訪問後、リブリン大統領は、ニューヨークへ移動し、国連本部を訪問した。これに合わせて、29日、リブリン大統領は、パレスチナ自治政府のアッバス議長に、「過去を忘れ、イスラエルとともに平和をめざしてほしい」と嘆願する声明を出した。
国連では、グテーレス事務総長と会談。先月、国連人権保護委員会が、イスラエルのパレスチナ人への取り扱いについて、捜査を行うことで合意するなど、イスラエルへの避難決議が出され続けていることについて言及。国連での決議が、反イスラエルに偏っていると訴えた。
リブリン大統領は、中東は違いの信頼によってなりたっているのであり、どちらかへの非難をすることでは、平和を達成できないという現状を伝えている。
また、エルダン国連イスラエル代表と、21ヵ国の国連代表たち(アメリカ、ロシア、中国、モロッコ、バーレーンなど)を前に、アッバス議長を「いとこ」と呼び、ユダヤ人とイスラエルの地の長い歴史とその土地への思いを伝えた。
「私たちは、不運にもともに住んでいるのではなく、ともに生きるという明るい未来のためにともに住んでいる」と述べ、理解を求めた。
石のひとりごと
イスラエルの大統領は政治には直接関わらないという点で、日本の皇室ほどの地位はないものの、似たような外交をすることができる。リブリン大統領は、個人的にも非常にやわらかく、人への愛情に満ちた人であったように思う。
そういう意味では、戦争イメージのイスラエルとは一味も二味味違う、イスラエルのイメージを振りまいてくれたと思う。
しかしだからといって、それがパレスチナ人たちの心や、国連の動きになんらかの影響があったといえば、おそらくまったくなし。。というのが、厳しい現状だろう。
リブリン大統領が就任してからもう7年。この間、最愛の奥様を亡くされてもいる。個人的には、このカワイイ系の大統領が見られなくなるのは寂しい気がしている。