23日夜、ヨルダンの首都アンマンにあるイスラエル大使館内でイスラエル人警備員がヨルダン人(17)に襲われ、警備員の反撃でヨルダン人2人が死亡するという事件が発生した。
詳細はまだ明らかになっていないが、イスラエル外務省は、エルサレムの神殿の丘問題に関連するテロ事件とみている。しかし、何が原因であれ、結果的にイスラエル人が、ヨルダンのイスラエル大使館で、ヨルダン人を殺害しているため、非常に複雑で深刻な外交問題である。
ヨルダンは、負傷した警備員を尋問のため引き渡すよう、イスラエルに要求しているが、イスラエルは、ウイーン条約(大使館内はイスラエルの管轄)により、これを拒否。
これに対し、ヨルダンは、すべてのイスラエル人大使館員らがヨルダンを出ることを禁止。現在、大使館職員、大使館警備員は全員、イスラエル大使館内で待機させられている。
<何が起こったのか>
これまでに明らかになったところによると、23日、ヨルダン人のモハンマド・ザカリヤ・アル・ジャワウデ(17)は、大使館内にあるイスラエル人警備員の自宅の家具の模様替えか何かで、この物件の大家とともに中に入ったもようである。
そこで、家具を動かしている時と思われるが、アル・ジャワウデが、警備員を背後からスクリュードライバーで刺した。これに警備員が反撃し、アル・ジャワウデを射殺。その後意識を失って倒れた。この時の流れ弾で、ヨルダン人大家も負傷。搬送先の病院で大家も死亡した。
<神殿の丘問題と他人事でないヨルダン>*神殿の丘問題詳細については、以下の記事、また前回記事を参照
現在、イスラエル政府、ヨルダン政府は、事件を鎮めるため、水面下で、協議が行われているが、ヨルダンの70%はパレスチナ人で、イスラエルへの反発を抑えきれていないのが、ヨルダンの最近の現状で、見通しは決して明るくない。
これに先立つ23日も、ヨルダンのアンマンでは、神殿の丘にイスラエルが設置し、実質入り口を管理していることについて、「アル・アクサを救出せよ。」と叫ぶ数千人のデモが発生している。
神殿の丘は、現在、ヨルダンのワクフ(イスラム財団)が管理するものであるため、イスラエルが、金属探知器を置いて、その出入り口を管理している状態について、エルサレムのイスラム教徒以上に、イスラエルに対して怒り狂っているのである。
今回、イスラエル人警備員に射殺された、アル・ジャワウデの家族は、「息子は殉教者だ」といい、ヨルダン政府は、イスラエルと断行することを要求している。
これは非常に難しい状況である。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4993529,00.html
アンマンのイスラエル大使館周辺とヨルダンでのデモの様子:http://www.jpost.com/Middle-East/Israeli-security-guard-stabbed-in-attack-at-Israels-Jordan-embassy-500536