ベネット首相は、6日、バイデン大統領と、就任以来3回目となる電話会談を行った。対話は約30分であった。
1)IS首脳暗殺について
ベネット首相は、まず、先週3日に、シリアで行われたISの指導者アブ・イブラヒム・アル・アシェイミ・アル・クレイシを追い詰めたアメリカのコマンド部隊への賞賛を述べた。最終的に、アル・クレイシは自爆したと伝えられている。
Times of Israelによると、アル・クレイシは、イスラエルに関する情報を持っていたらしく、イスラエルが水面下で情報提供するなど、なんらかの協力があった可能性も指摘されている。作戦遂行前、アメリカはイスラエルに通達していたもようである。
2)JCPOAのイランとの交渉再開
ウイーンでは、イランと世界代表諸国のJCPOA(イラン核開発に関する包括的共同行動計画)再建に向けての交渉が8日、10日ぶりに再開された。目標は、アメリカがこの枠組みに戻り、新しい枠組みでの合意である。
しかし、相変わらず、状況打開へのみこみはほとんど見えていない。結局のところ、イランが核保有を諦めるということはありえないわけである。しかし、バイデン政権は、どうしても、この方向での打開をあきらめなないでいる。
今回の交渉再開に先立ち、アメリカは、4日、イランの核開発のうち、非軍事部門の開発に関する制裁を緩和すると発表した。これにより、ロシア、中国はじめ諸外国が、イランとの民間レベルでの核開発については、行えるようになった。
交渉再開にむけて、アメリカからイランへの、いわばヨイショということである。しかし、イランは、これを不十分と表明していた。また、ベネット首相も、この電話会談の中で、イスラエルが自国の防衛のために、行動する可能性に変わりはないと念を押したとのこと。
このままでいけば、イランは1年以内にでも、核保有国になると考えられるが、JCPOAにより、それが多少なりとも延期になれば、なにもないよりマシではないかというのが、バイデン大統領の言い分である。
しかし、イスラエルは、水面下で、イランの核兵器開発を遅らせるための実質の作戦を続けている。それが、核科学者の暗殺であるとか、重要な施設の破壊、サイバー攻撃などである。イランも水面下で、すでにイスラエルへの攻撃を実施している。
3)ウクライナ問題
緊張するウクライナ問題について、ベネット首相は、バイデン大統領に、イスラエルは、どちらの側にもつかないという意思表示をしたもようである。イスラエルは、ウクライナだけでなく、ロシアともよい関係を維持しなければならないからである。
かといってアメリカとも最友好国でもあるので、アメリカの信頼こそは維持しなければならない。ベネット首相は、バイデン大統領夫妻をイスラエルに招待。大統領は、今年中にはいくと表明したとのこと。