ウクライナ危機:イスラエル大使館関係者もキエフから退避 2022.2.12

ルーマニアに配備された米軍 US military personnel from the Allied nations deployed to Romania take part in a ceremony during a visit of the NATO Secretary General and Romania’s President at the Mihail Kogalniceanu Military Base on February 11, 2022 in Mihail Kogalniceanu, Romania on February 11, 2022 (Photo by Andrei PUNGOVSCHI / AFP)

ロシア軍10万以上:欧米軍1万2000(全ヨーロッパの米軍8万)

ロシア軍が、キエフの真北、ベラルーシで大規模な合同演習を行い、ウクライナへの侵攻の可能性が高まっている。ロシアはウクライナへ侵攻するつもりはないと言ってはいるが、配備した軍は、10万を超える大軍になっている。

さらには、黒海に急襲上陸戦艦6隻を配備。13-19日に訓練を行う。オデッサ港など、いつでもウクライナに上陸できる様相を見せつけている。

www.bbc.com/news/world-europe-60158694

www.timesofisrael.com/us-warns-russia-may-invade-ukraine-in-days-urges-americans-to-quickly-leave/

これまでは、ロシア軍は、ウクライナ全土を制圧するには、まだ足りないとの憶測もあったが、11日、バイデン政権は、ロシア軍の規模は、ウクライナを制圧するだけの規模になっていると発表。

アメリカ人は48時間以内にウクライナから出るよう警告を出した。FOXnewsによると、ウクライナにいるアメリカ人は、6000―1万6000人とのこと。

ブリンケン米国務長官は、ここ数日内、北京オリンピックが終わるのを待たずにロシア軍の侵攻が始まる可能性もあると語っている。

膨大なロシアの大軍を前にしているウクライナだが、まだNATO加盟国ではないので、NATOだけでなく、米軍や、いかなる国もウクライナ国内に、軍を配備することはできない。

バイデン大統領は、米軍とロシア軍が直接戦闘に入れば、世界戦争になるとして、ウクライナには進軍しないと言っているが、今後、ロシア軍がどう出るかで、米軍も対処しなければならなくなるだろう。

アメリカ軍は、11日、ポーランドにさらに、3000の軍を派遣した。この2週間の間にヨーロッパへ派遣した米軍は計5000である。CNNがまとめている記事によると、現在、ウクライナ周辺にいる欧米側の軍は、おおむね1万2000で、その配置は以下の通りである。

ポーランド:米軍5700、NATO1200、リトアニア:米軍450、NATO1200、エストニア:NATO1200、ラトビア:NATO1200、ルーマニア:米軍900

なお、ヨーロッパ全域にいる米軍は8万である。ロシアとの全面戦争になれば、バイデン大統領が言うように、本当にヨーロッパ全域を巻き込む世界戦争の様相になってしまうだろう。

edition.cnn.com/2022/02/10/europe/nato-troops-eastern-europe-map-intl-cmd/index.html

現時点では、まだフランスやイギリス、ドイツなどが、プーチン大統領と直接会うなど、ロシアとの外交的努力を重ねているが、今の所、大きな変化はない。

最終的には、10日、ベルリンで、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスが交渉を行った。しかし、打開への出口はみつからなかった。

ロシアは、ウクライナなどからNATO軍を遠ざけることを主張し続けており、事態がエスカレートするのは、西側の責任であり、ロシアの責任ではないと言い続けている。しかし、それでもまだ、交渉には応じているので、ロシアもなんとか戦争は回避したいとは思っているのだろう。本日12日、バイデン大統領とプーチン大統領が、会談するというニュースが入っている。

イスラエル大使館職員と家族はウクライナから退避

こうした危機的状況の中、11日、イスラエル外務省は、キエフにいた大使館関係者とその家族をウクライナ国外に避難させたと発表。今後10人以下のスタッフで、大使館機能を継続する。イスラエル人へは、ウクライナへ渡航しないよう警告を出した。

現在、ウクライナにいるイスラエル人は、約4000人だが、チャンネル13によると、実際には2倍3倍といる可能性がある。また、イスラエル外務省は、ウクライナ東部にいるユダヤ人で、イスラエル国籍を取りうるユダヤ人は、約7万5000人とみている。

しかし拡大解釈すれば、イスラエルへ移住可能な人は20万人とも言われる。ウクライナは、ユダヤ人文化、特にハシッドと呼ばれる超正統派ユダヤ教の基礎が形成された場所なのである。

ウクライナとロシアにいるユダヤ人たちの動き

これほど多くユダヤ人がいるので、ウクライナには、彼らの移住などを支援するイギリス、アメリカ拠点のユダヤ組織が10以上もあるという。

たとえば4万人のユダヤ人を支援しているJDC(ホロコースト時代もユダヤ人を助けたジョイントと呼ばれるアメリカ基盤のユダヤ人組織)がいる。JDCは、ウクライナだけでなく、ロシアにいるユダヤ人も助けている。今ウクライナで何かあれば、その場に行って救出する構えである。

イギリス基盤のWJR(World Jewish Relief)は、ウクライナのホロコーストサバイバーを含む高齢者8000人を助けている、こちらも、ウクライナと、ロシア双方のユダヤ人を支援している。

ティクバの子供たち

ティクバという団体は、オデッサで、ユダヤ人の子供300人の家、ユダヤ人児童700人の学校のほか、ミクベ(きよめのプール)や、コシェルのレストラン、ユダヤ人の大学を運営している。

この他、ユダヤ教ハバッド派の団体、AJC(American Jewish Congress)などがある、AJCのジャック・ローゼン代表は、なにかあれば、ユダヤ人コミュニティは、立ち上がってイスラエルへ向かうだろうと語っている。「ユダヤ人にははてしなく問題があるが、少なくとも一つは解決している。いくところーイスラエルがあるということだ。」と。

ウクライナがイスラエルに軍事、外交でも支援を求めたとのニュースが入っていたが、今も水面下で、ミリオネアで社会的に影響力があるユダヤ人がプーチン大統領に面会しているとの情報もある。ユダヤ人たちは、ウクライナにもロシアにもおり、なんとか戦争は避けたいところである。

www.jewishnews.co.uk/operation-exodus-for-ukraines-jews-the-stakes-are-high-we-must-be-ready/

ここからどうなる?:BBCによる5つの外交的解決の可能性

プーチン大統領
wikipedia

このままいけば、戦争になるというのが、現状だが、欧米世界諸国は、この後に及んでも、プーチン大統領がいったい何を考えているのか、まったくわからないという。プーチン大統領が、これまでからも予想外の動きをしてきたからである。

しかし、少なくとも、プーチン大統領は欧米との交渉にはまだ応じているのも僅かな希望である。何を目論んで10万以上の大軍を派遣しているのか。侵攻する可能性が高いものの、意外にも撤退していく可能性もゼロではないかもしれない。

BBCはこれからどうなっていくのか、外交的打開の5つのパターンを提示している。いずれも、可能性はあるものの今の所、期待は薄そうである。

1)欧米諸国がプーチン大統領に撤退するよう説得に成功する

もしロシアがウクライナに侵攻した場合、大勢の死傷者が出るだけでなく、ロシアへの世界的な経済制裁が発動される。そのコストは益を大きく超えると西側がプーチン大統領を説得し、軍を撤退させることに成功するパターン。

たとえば、もしロシアが侵攻して来れば、それこそ西側は一致し、ウクライナをNATOに加盟させ、フィンランドやスウェーデンもNATOに加盟すると説得するなどである。その際、プーチン大統領には、西側を屈服させ、戦争を回避した偉大な指導者という立場におかれるというパターンである。

しかし、プーチン大統領が、西側との関係などに興味はなく、ともかくウクライナを領地に組み込もうとしているならば、このパターンになる可能性はない。

2)NATOとロシアが新しい軍事協定に至る

欧米は、ウクライナだけでなく、いかなる国も、NATOに加盟する自由があるという点で、譲歩することはない。しかし、それ以外のウクライナとロシアの国境に関することや、ミサイル配備に関する制限など、細かい点で、欧米とロシアが軍事的な合意に達し、ロシアは、安心して撤退していくというパターン。

これについては、これまでからもすでに、ロシアが不十分と主張。ウクライナのNATO加盟は絶対に認めないと言っているので、可能性はほぼない。

3)ウクライナとロシアが、ミンスク合意を再開させるケース

ミンスク合意とは、2014年と2015年にウクライナ政府と、反政府親ロシア・ウクライナ勢力の間に交わされた停戦合意である。この合意は今はもう機能していない。もしこの合意を復活させることができれば、国境に一定の約束事ができるので、ロシアの侵攻も抑えられる。

可能性としては考えられるが、合意に問題の地域の地方分権が入っており、NATOへの加入を求めている今のウクライナ政府に反対することが必須であり、現ウクライナ政府にとって好ましい形ではない。また両者が、再開された合意を遵守するとも思えない。

4)ウクライナが中立国になる

フィンランドは、米露冷戦時代、中立を宣言した。フィンランドは自立した主権国家であるとともに、NATOには加わらないということである。ロシアにもNATOにも中立という立場である。ウクライナがこのようになるという選択肢もないわけではない。

しかし、考えてみれば、この問題は、ウクライナが、NATOへの加盟を求めたところから端を発している。このケースになる場合、ウクライナが全面的に欧米寄りになることを諦めることにもなるので、今更このオプションはないだろう。

5)今まま現状維持が続く

外交交渉も頓挫し、今にも戦争になろうかという現状が、このまま続くというパターン。ロシアは訓練は終わったといって撤退するが、武器弾薬はそのままウクライナとの国境に残留させ、いつでも侵攻できる状況は維持する。

欧米側も、ヨーロッパに配備した軍備はそのまま維持し、時々外交交渉を行っていく。現状維持である。この場合、ウクライナが、いつまでも宙ぶらりんになり、苦悩することになる。

www.bbc.com/news/world-europe-60341966

石のひとりごと

なんとも恐ろしい様相になりつつある。戦争になるのかならないのか。人間にはわからない。予想ができない。これは神のみが知るところであり、必ず神のみこころがなるだろう。それがどんな結果をもたらすかも、我われ人間にはわからないのである。

聖書には、ロシアと思われる北の果ての国から大軍勢が、イスラエルに攻め上る日がくると書いてある。今、ロシアの大軍勢が、ウクライナを取り囲んで、攻め上ろうとしている様子から、イスラエルをロシアの大軍勢が取り囲む様子もありえないことではないと思わされる。

遠い大昔のことを思い出せ。わたしが神である。ほかにはいない。わたしのような神はいない。わたしは終わりの事を初めから告げ、まだなされていない事を昔から告げ、「わたしのはかりごとは成就し、わたしの望む事をすべて成し遂げる。」と言う。(イザヤ書46:9-10)

私たちキリスト者は、イエスの犠牲により、罪赦されて、この神との和解を得たものである。この神と話をすることができるということである。今、多くの人々が戦争で救われる可能性があるところに私たちは立っている。

このままであれば、多くの人が、救われる前に死んでしまうかもしれない。神に憐れんでくださるようにとりなすことができる。神が何を計画されているのか、私たちにはわからないからである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。