ヒズボラは、イランとともに、シリアに介入。多数の戦闘員を送り込んで、アサド政権を軍事的に支援している。激しい戦闘で、24日だけでも、ヒズボラ戦闘員20名以上が死亡した。
その翌25日、ヒズボラのナスララ党首が、「イスラエルの南レバノンからの撤退13周年記念式典」でのテレビ演説で、「シリアで過激なスンニ派が台頭している。これはイスラエルを支援するアメリカとその同盟国の陰謀によるものだ。ヒズボラは、最後までシリアのアサド政権とともに戦う。」と豪語した。
その数時間後、レバノンの首都ベイルート郊外にロケット弾が2発撃ち込まれ、建物や車両が炎上、負傷者が出た。被害にあったのは、ホズボラの軍事拠点だった。
現時点で犯行声明は、まだどこからも出ていないが、シリア介入を続けるヒズボラへの警告ではないかとみられている。
<ヒズボラへの反発>
ヒズボラのシリアへの介入に反発するグループは少なくない。まずは、シリアの反政府勢力。ヒズボラが介入しているため、なかなかアサド政権打倒がすすまない。
次に湾岸アラブ諸国。シリアでの内戦は、アサド政権を支えるシーア派のイランとヒズボラに対して、スンニ派イスラムからなる反政府勢力、つまりシーア派対スンニ派という構図になっている。
湾岸アラブ諸国はスンニ派である。それらの国では、シリア内戦がすすむにつれて、シーア派の反抗がめだちはじめている。できれば早くシリアの内戦を終わらせたい湾岸諸国にとって、シーア派ヒズボラの介入は頭痛の種。
3つめに、レバノン政府。レバノンは、シーア派の国ではなく、スンニ派、アラウィ派、キリスト教、ドルーズなどがモザイク状に入り交じった国。つい最近まで15年間も内戦状態だった。しかし、近年ではイランの後押しを受けて、シーア派のヒズボラが国をほぼ乗っ取ったような状態である。
レバノン政府自体は、再び内戦に陥ることを恐れてシリアへの介入をできるだけ避けたいと考えている。しかし、ヒズボラが勝手にシリアへ介入しているため、無理矢理介入させられている形である。最近レバノン国内では、ヒズボラへの反発が高まっている。
<レバノンからイスラエルへ砲撃か>
ヒズボラがミサイル攻撃を受けた翌日、イスラエルとレバノンの国境メトゥラ付近で爆発音が観測された。レバノンからイスラエルに向けて迫撃砲が撃ち込まれたもようである。負傷者や被害の報告はない。
<EUがシリアへの武器支援の制限について論議中>
ブリュッセルで行われているEUの外相会議。シリアの反政府勢力への武器支援の制限条約が期限切れを迎え、今後どうするかの激しい論議が行われている。イギリスとフランスは、武器支援への制限を緩和することを提案している。しかし、多くのEU諸国がこれに反対しているもよう。