この混乱の中、パレスチナ自治政府は、国連に対し、今のオブザーバーの地位から、正式な加盟国の地位にあげてほしいとの要請を、国連安保理に出していた。言い換えれば、正式な国家として認めてほしいということである。
しかし、ハマスにとどまらず、イスラム聖戦や、数々のテロ組織を生み出し、治世はカオスに近いパレスチナ自治政府を国家として認めるというなど、とてもできることではないだろう。
この要請は、これまでからも何度か提案されたが、これまでは、賛成票が不十分ということで、否決になってきたのであった。
今回も、そうなるよう、アメリカは各国に働きかけた。しかし、今回は、12カ国が賛成票を投じることになったことから、否決にするためには、アメリカが拒否権を発動しなければならなかった。
今回、特に注目されたのは、パレスチナ自治政府を国家と認めていないのに、この決議案に賛成票を投じた3カ国、日本、韓国とフランスである。
アメリカは、これら3カ国は、アメリカが拒否権を発動することを知って、賛成票を投じたとアメリカは理解していると言っている。
イスラエルは、国連安保理でこれを論議すること自体に怒りを表明していた。拒否権を発動したアメリカには感謝を表明している。
一方で、パレスチナ自治政府のアッバス議長はこの結果に「不公平だ」とアメリカを非難した。
<石のひとりごと>
世界の動きはどうにもばらばらになってきつつある。確かにイスラエルとそれを支える欧米諸国、またそれにつく日本や韓国の間に一致がなく、その場その場の結果が出ているように思う。
確かに、レイヒマン大学のツヴィ博士が言うように、ロシア、イラン、中国、北朝鮮の勢力が、じわじわと脅威になってくる予感も感じさせられる。