ハマス心理作戦か:人質男性の反ネタニヤフ声明ビデオ発信 2024.4.25

スクリーンショット

カタールからアメリカに届いた人質男性のメッセージ

いよいよイスラエルがラファへの攻撃を開始するという、このタイミングで、ハマスが、24日、人質になっているハーシュ・ゴールドバーグ・ポーリンさん(4日前に24)の映像をアップした。

ハーシュさんは、アメリカとイスラエルの二重国籍であるため、ビデオは、22日、仲介のカタールからアメリカのホワイトハウスにも直接届けられていた。そこから家族に届けられたという。人質になっているアメリカ国籍を持つ人は、ハーシュさんを含め5人。

ハーシュさんは、10月7日、ガザ近郊の音楽フェス会場で重傷を負った上で、拉致されていたようで、左手首が切断されている。撮影がいつであったかは不明だが、この傷口の治癒の様相から、最近ではないかと思われる。

ハーシュさんは、絶望の表情で、目には正気がない状態で、3分間のメッセージを語っている。その中で、家族に会いたいと言い、また、いまだに救出に来ない、ネタニヤフ首相とその政府は恥を知れと、怒りも表現している。

また、人質70人がイスラエル軍の爆撃で死亡したとか、交渉においては、全てを拒否したと、祖国への非難も表明している。

言わされたのか、言っているのかは不明だが、なかなか助けがこない軍や政府に、苛立ちがないはずはないだろう。

www.haaretz.com/israel-news/2024-04-24/ty-article/.premium/hamas-airs-video-showing-israeli-american-hostage-hersh-goldberg-polin-in-gaza/0000018f-10d7-d361-a3ef-52f7a0400000

ハーシュさんの両親からのメッセージ

ハーシュさんの両親、ラケルさんとジョンさんは、多数のアメリカ人も拉致被害者であることを世界に発信すると同時に、もしかして、息子が見ていればと、「強くいて。生き延びて。」とメッセージを発している。

なお、こうしたビデオは心理的作戦の一環であるため、通常は一般公開はしないのだが、ハーシュさんの両親が、公開に合意したため、公開に至ったとのこと。

*人質の現状

人質の数字は、メディアによっても変化している。Times of Israelが出している数字によると、今もガザにいるとみられる人質は129人だが、どのぐらいの人が生きているかは不明。IDFは34人は死亡しているとみている。

10月7日時点で、拉致された人は253人。11月の人質交換で解放された人は105人。これまでに遺体となって帰国した人が12人。このうち3人は、イスラエル軍の誤爆で死亡していた。

www.timesofisrael.com/in-hamas-propaganda-clip-israeli-american-hostage-hersh-goldberg-polin-describes-hell/

IDFハガリ報道官:一つの石も崩されないで残ることはない

ハーシュさんの映像が公開されたことを受けて、IDFのハガリ報道官は、10月7日の残虐性、ハマスがいかに狂気の組織であるかを思い出させることとなったとし、徹底的にハマスを倒すことが急務であるとし、一つの石も崩されないで残らないまでにすると宣言した。

エルサレムの反政府デモで警察と衝突

イスラエル人の一部ではあるが、政府の方針に同意しない人も少なくない。24日、ハーシュさんが、政府に恥を知れと言っているビデオが公開された後、エルサレムの首相官邸周辺、アザ通りで、人質解放を政府に求めるデモが発生した。

ゴミ箱をひっくり返すなどの暴徒となり、警察が放水銃を使うまでの混乱となった。極右政治家ベン・グビル氏周辺での衝突もあり、4人が逮捕された。逮捕者の1人はハーシュさんの友人だったという。

www.timesofisrael.com/six-months-into-war-israeli-soldiers-still-count-on-donations-for-basic-supplies-why/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。