ネタニヤフ首相裁判:来年2月から本格的に再開へ 2020.7.20

ネタニヤフ首相 出展:GPO

19日、ネタニヤフ首相の汚職に関する2回目の裁判が、エルサレム地方裁判所で行われた。しかし、ネタニヤフ首相本人は出廷せず、弁護チームに今月初頭に加わったばかりの新参、ヨシ・セゲブ弁護士が出廷し、裁判の延期を要請しただけであった。

ネタニヤフ首相は、贈収賄、詐欺、背信で起訴されたが、当初3月に予定されていた裁判は、コロナ危機を理由に5月に延期された。5月の第一回目公判に、ネタニヤフ首相が出廷したが、裁判の開始を宣言するだけに終わり、先が不透明になっていたところだった。

裁判所は、前とは違う弁護士の登場に、「あなたも次回いないのではないか」と厳しく言いながらも、ネタニヤフ首相裁判の再開を、半年後の来年1月に延期するとし、その時には、週に3回のペースで証人喚問を行うと発表した。

<なかなか狡猾:ネタニヤフ陣営>

今回、延期要請の理由として、セゲブ弁護士は、「コロナ禍中にあり、マスクをしている証人を十分に審問できない。弁護側に十分な準備ができていない。」として、ネタニヤフ首相の裁判を延期するよう申し出たとのこと。

また、セゲブ弁護士は、準備不足の理由として、マンデルビット司法長官に対し、「弁護費用として申し出のある支援者からの献金を受けても良いか」との問い合わせをしたところ、それが拒否されたために、弁護チームに十分な支払いがなかったためだと述べた。また、検察側が、保持している資料を十分開示しないことも理由に挙げた。

ネタニヤフ首相の汚職については3件あるが、このうちケース4000と呼ばれるケースがもっとも深刻とされ、今回も審議されることになっていた。これは、ネタニヤフ首相が通信会社ベゼックに18億シェケル(540億円)分と換算される便宜を図る代わりに、自身に好意的なニュースを出させたという件である。

19日には、ベゼックからは、この件にかかわったとされる、最大株主のサウル・エロビッツ氏が証人として出廷していたたが、こちらの弁護士も、検察側が、得ている資料を開示しなかったと訴えた。またエロビッツ氏は、警察が息子に無理やり証言させたとも訴えている。

これらの訴えについて、ベン・アリ裁判官は、両者から、検察の資料開示を求められたことはない。求められたらすぐにも提示するところだったとのべている。いずれにせよ、ネタニヤフ首相は、6ヶ月の時間を稼いだということである。

<続く週末反ネタニヤフデモ>

イスラエルでは、先週末、テルアビブとエルサレムで、大規模なデモがあったが、今週も同様であった。テルアビブでは、政府の経済政策への反発で、エルサレムでは、ネタニヤフ首相の辞任を求めてのデモであった。

今回は、特に数千人が、おしくらまんじゅう状態で、ソーシャリディスタンスどころではなかった。テルアビブでは、先週の大規模デモに参加していた人からコロナの陽性者が出ていたことがわかっている。(ビデオは、エルサレムのベツアルエル・ストリート)

今週も、テルアビブで15人、エルサレムでは13人が逮捕されたが、まもなく保釈されている。

www.timesofisrael.com/in-jerusalem-and-tel-aviv-thousands-rail-against-netanyahu-covid-19-polices/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。