コロナ発症者3万人突破:若年層にも重症者 2020.7.22

コロナウイルス 出展:Wikipedia

イスラエルでは、先週から、新型コロナの陽性者が1800人前後と急激に増加していていたが、昨日は2000人(検査数2万7299件)を超えた。その後、実際に発症して患者となった人は、この1週間で1万人増加し、3万人を突破した。

重症になる人も増えつつあり、7月22日朝の段階で、256人。このうち人工呼吸器依存者は77人。死者も毎日増えており、20日6人、21日10人で、425人となった。今危険な状況にある重症者は、20−39歳が少なくとも20人、40−49歳が14人、50−59歳が52人。あとは、高齢者と推察される。

保健省によると、このペースで感染が拡大すると、たとえ新たに陽性となる人の数が減ったとしても、重症になる人の数は増え続けて、3週間後には、1000人になると推察される。しかし、イスラエル国内で、重症者を看ることのできるキャパは、最大750床だという。

政府がいよいよ国のロックダウンに入るとの情報もある。

www.timesofisrael.com/as-active-cases-hit-30000-officials-warned-of-1000-serious-patients-in-weeks/

<政府の政策をひっくり返す国会委員会>

イスラエルには、政府の独走を予防するための国会委員会がある。この委員会は、政府が出す政策を審議し、14日以内であれば、国会での審議に持ち込まれる前に、突き返す権限を持っている。

政府は、感染拡大を受けて、レストランの閉鎖を含む対策を打ち出していたが、21日、対コロナ国会委員会はこれを拒否して、差し戻した。委員会は、政府が、それだけの制限を指示する根拠となるデータを示していないというのが理由である。このため、今の所、レストランは営業を続けることになっている。

イスラエルの感染拡大をみれば、ロックダウンしか道はないとも言われているが、同時に企業の経済危機もかなりの逼迫状態にあり、再度のロックダウンが実施された場合、再起不能に陥る企業が多数出てくるというのが現状なのである。

実際、この審議に先立ち、ハイファでは、経済危機にあるレストラン経営者ら150人が、レストラン閉鎖に反対するデモを行っていた。

しかし、これでは、迅速なコロナ政策を進めることができないので、ネタニヤフ首相のリクードは、対コロナ国会委員会シャシャ・ビトン委員長(議員)を更迭しようとした。しかし、ガンツ氏の青白党がこれに反対を表明したため、更迭できなかった。

このため、政府は、コロナ国会委員会から、政府の政策を拒否してひっくり返す権限を剥奪する法案を提出した。それによると、今後国会委員会で、政府の案を拒否できるのは、教育委員会、経済委員会、憲法委員会、社会保障委員会に限り、その期間も14日から7日以内に短縮するとなっている。

さらには、政府の臨時法案が実施された場合、政府は、国会の可決なしにこれを延長することたできるともうたわれている。

この法案の審議は、22日に国会で審議されることになっているが、3回可決された場合、この法案が実施されることになる。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/283989

<エルサレムで大規模デモ:大混乱の様相>

21日夜、エルサレムの首相官邸近く、パリ広場では、2000人ともみられる人々が集結し、ネタニヤフ首相の辞任を求めたり、政府のコロナ対策を批して、警察と衝突。乱闘状態になった。多くは左派で、上記のようにネタニヤフ首相の権限が拡大することに懸念を表明している。その代表がブラックフラッグと呼ばれるグループである。

その後、デモの群衆は、そのまま国会前まで進み(歩いて20分ぐらい)、国会前広場にあるメノラー周辺で、政府に反発するデモを継続した。参加者の中には、左派勢による政治的な訴えから、給料の安さを訴える社会福祉士の女性が、メノラー上によじのぼってトップレスになるなど、混乱をきわめていたようである。このデモで34人が逮捕された。

www.timesofisrael.com/fresh-clashes-as-thousands-protest-against-netanyahu-10-arrested/

<石のひとりごと>

毎朝、ニュースをみると、イスラエルがどんどん混乱に向かっているように見え、緊張する。すべては主の主権下にあるのではあるが、なんとか、主があわれんでくださって、あまりにひどいことにならないようにと祈らされている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。