ネタニヤフ首相の国連総会首脳演説 2018.9.30

国連総会で首脳演説が行われている。ネタニヤフ首相の縁説はイランに関することに時間の大部分を割いていた。スピーチは、論理的だったとして国内での評価は高いが、国連総会の様子をみると出席者が少なく空席が目立っていた。

1)イランの核問題:

イランの核開発に関して、イスラエルが5月に公表したテヘランの核関連アーカイブ保管庫に続いて、その近くにある極秘の核保管施設の写真を提示した。本気で核開発を放棄するなら、これらが残されているはずがないと指摘した。

また、ネタニヤフ首相は、テヘランの極秘核施設から15キロの放射性物質が、この8月に持ち出されたと報告。この件について、IAEAに報告して6週間になるが、なんの対策もなされていないと訴え、IAEAの天野局長にすぐに対処するよう訴えた。一方、イランに対し、イスラエルは、すべてお見通しであると釘をさした。

またイランに甘いヨーロッパについて、「歴史からなにも学んでいないのか」と強く批判した。

2)イランが支援するヒズボラの危険性

さらに、イランが支援するヒズボラについて、ベイルートの空港やサッカースタジアムなど、市民関連施設に、イスラエルを標的にする誘導ミサイル発射地があることを提示。これについても、イスラエルはすべてお見通しであると、ヒズボラに釘をさした。

3)イランのイスラム政権に立ち上がるイラン市民の勇気

ネタニヤフ首相は、トランプ大統領がイランとの核合意から離脱したことから、日本を含む各国のビジネスがイランから撤退し、すでにイランの経済が大打撃を受けていると指摘。これにより、勇気あるイラン市民たちが、現政権に反発していると報告した。

今後、11月にアメリカのさらなる経済制裁が発令されたのちにはさらにイラン経済が落ちると予測し、イラン情勢に注目していると述べた。イスラエルはトランプ大統領が、大胆にイランとの合意から離脱したことに感謝すると述べた。

4)イスラエルとアラブ諸国の接近

イランと世界の核合意(2015年)は、これまでになかったイスラエルとアラブ諸国との接近をもたらした。とくにエジプト、ヨルダンとの関係改善につながっていると報告した。

5)アメリカのUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機構)支援削減に感謝

これまで、国連では、イスラエルは批判されることが多かったが、トランプ大統領とヘイリー米国連代表の国連でのイスラエル支持に感謝すると述べた。

ネタニヤフ首相は、イスラエルは民主国家であることを強調。にもかかわらず、国連ではイスラエルが人種差別として避難されるのは、形を変えた反ユダヤ主義であると指摘した。

6)国家民族法に関して

イスラエルがユダヤ人の国と定義する法が批判されていることについて、他の国々を比べ、なんら差別的ではないことを指摘。

アッバス議長が、イスラエルを人種主義であると批判することに対し、パレスチナ自治政府は、ユダヤ人に土地を売るパレスチナ人を処刑すると定めていると指摘。ユダヤ人を殺害するテロリストに補償金を支払うアッバス議長こそ人種差別だと訴えた。

www.timesofisrael.com/netanyahu-was-to-reveal-third-site-in-speech-on-iran-but-intel-chiefs-said-no/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。