トルコ・シリアで巨大地震:イスラエル軍災害エキスパート150人派遣 2023.2.7

トルコ被災地 wiki

トルコ・シリアでマグニチュード7.8

6日早朝4時過ぎ(イスラエル時間3時すぎ、日本10時過ぎ)、トルコ東南部ノルドーを震源地とするマグニチュード7.8の大地震(90秒)が発生。

マグニチュード6前後に及ぶ余震が2回発生し、最初の地震から9時間後には、再度、7以上の大地震が発生した。トルコ、シリア国境付近に被害が拡大している。

地震発生から24時間の時点でのトルコ政府の発表によると、全壊した建物は5600棟を超え、死者は4300人を超えた。死者はまだ増えつづけており、2万人との予想もある。

いくつもの高層アパートが一気に崩れ落ちていることから、がれきの下にいる人の数は計り知れない。すでに日本を含む世界中から救援隊が駆けつけ、救出を急いでいる。これまでに6445人ががれきから救出されたとのこと。

しかし、余震は、地震発生から頻繁に発生しており、残っている建物もいつ崩壊するかわからず、救出は文字通り命懸けである。雨も降り、気温は氷点下の極寒地域である。生存者を救出できる時間は、48時間と言われており、必死の捜索が続けられている。

シリアでは、ダマスカスと、北部アレッポ、イドリブなど、シリア内戦で家を奪われた難民が多く被災しているもようで、悲惨に悲惨を上乗せした様相になっている。(事項に詳細)

イスラエルへの影響:巨大地震の準備ほどんとなしか

この地域で被災したユダヤ人もおり、地域のシナゴーグが、無事の確認を急いでいる。2人ががれきから救出され、2人が不明とのこと。

また、この時の揺れはレバノンや、イスラエルでも中部地域の、特に高層ビルで観測され、倒壊を恐れて数百人が、外へ避難した。

イスラエルでは、100年に一度くると言われている地震が、今やいつきてもおかしくない時期にいる。トルコの大地震後もその予兆はないとされているが、しかし、何がおきてもおかしくはない状況にあると専門家は言っている。

イスラエル国内のビルは、十分な耐震構造になく、2016年の段階で、すでにビル8万棟が、倒壊の危険性があるとされていた。特にハイファのカルメル山では、アパート群が山に沿って建てられており、簡単に転がり落ちる様相にある。

もし実際にイスラエルで大地震が発生したら、2万8600のビルが倒壊し、7000人が死亡するとの試算も出されていたのだが、結局なんの対策もされてこなかったという。ネタニヤフ首相は、国家治安委員会の代表に、イスラエルの耐震の現状を調査するよう指示を出した。

www.jpost.com/israel-news/article-730771

イスラエル軍の災害エキスパート150人被災地へ:オペレーション・オリーブの枝

災害発生後、イスラエルは、直ちにトルコへの救援部隊の派遣を申し出た。イスラエルは、これまでに30回も被災地での早期救助に携わっており、文字通りのエキスパートである。

トルコの要請を受け、イスラエル軍は、6日夜、先発隊を支援物資とともにトルコに派遣。翌7日に、計150人からなるエキスパートを派遣する。内訳は50人が情報収集と司令塔になる人々で、100人は、救出、医療、エンジニアなどの専門家である。

拠点となるのは、トルコの町、アダナだが、気候がかなり厳しいと予想されている。しかし、隊長を務めるゴラン・バッハ少佐は、「隣人を助ける素晴らしい機会だ」として、困難を乗り越えながら最善を尽くす覚悟を語っている。

ギャラント防衛相とハレビ参謀総長は、必要とトルコ政府の要請により、野戦病院設営も検討することを話し合っている。イスラエル軍は、一連の救援活動を「オペレーション・オリーブの枝」と名付けた。

イスラエルとトルコは、2010年に発生したガザ沖船舶とイスラエル軍の衝突以来、2011年から最近まで、国交がほぼ途絶えた状況にあった。正式な国交が回復したのは、昨年3月にヘルツォグ大統領がトルコを訪問した後の8月であった。

*地震被害甚大のトルコ
トルコの地震被害はこれがはじめてではない。1939年の地震で33000人死亡、1999年の地震では17000人死亡している。

世界中からトルコに救援の申し出:日本は75人派遣

イスラエルだけでなく、被災地のトルコとシリアへは、世界各国が救援を申し出た。EUからは、ブルガリア、クラチア、チェコ共和国、フランス、オランダ、ピーランド、ルーマニアがトルコへの救援部隊の派遣を申し出た。

イギリスは救援犬と救出隊76人を派遣。ギリシャは、被災者を運ぶ移送機と、消防隊21人の救出スペシャリストと救援犬の派遣をトルコに申し出た。

アメリカは、バイデン大統領が、USエイドや国家救援機関に対し、アメリカとして何ができるかの検討を命じたとのこと。

アジアからは、インドは、医療チームと救援隊を、日本は、6日、被災地で捜索、救助を行う75人のうち、先遣隊の18人が、すでに成田から出発している。これらはわかっているだけの国々の動きである。

石のひとりごと

全く思いもしなかった時に、思いもしないところで大地震が発生した。今回の地震は、人々が夜中爆睡している中での大惨事だった。

地震はくることは知っていても、いつどこでどんなふうに起こるのかはまったくだれにもわからない。寝ている間に子供たちや親たちを失って家まで失った人たちは、本当に悪夢というひとことでは表現しきれない、突然するぎる大惨事である。

こうした災害のたびに、また崩れ去ったビルの瓦礫の山に転々と手作業で作業にあたる救出隊の様子に、いかに人間は小さく、その力には限界があるということを思わされる。実際のところ、私たちは自分が立っているその地面、いわばすべての基盤が揺れることの予測もできないのである。

だれがそのような災害にまきこまれるか、その法則もわからない。理由もまったくわからない。天地創造の主の前に、ただへりくだりを思わされるばかりである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。