トランプ大統領は、すでにパレスチナ自治政府への経済支援削減を実施しているが、3日のツイッターで、次のように述べ、さらなる削減を示唆した。
「パレスチナに何百万ドルも支援しているが、感謝も敬意もない。エルサレムを交渉からはずしてやったのに(エルサレムはイスラエルの首都であり交渉の余地なし)、交渉に応じる様子もない。今、彼らに大金を支払う必要はあるのか。」
アメリカは、毎年UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機構)に3億5000万ドル(約390億円)程度の支援を行っており、1月中に、その一部である1億2500万ドル(約140億円)が送金される予定となっている。
報道によると、その送金額が、今年は半分の6000万ドル(約70億円)にまで削減される可能性がある。(正式発表は今週中)
UNRWAについては、資金がパレスチナ難民の生活改善や自立支援だけなく、テロ組織にも使われていることが明らかになっている。次の記事で述べるが、イスラエルは、巨額の資金が、テロリストへの給料になっていると訴えている。
UNRWAが設立されたのは、イスラエル建国超後の1949年。本来、難民支援は難民が立ち上がるまでであるはずなのだが、70年も”難民”支援を続けていることになる。これでは、内部癒着が発生しても不思議はないだろう。
アメリカのヘイリー米国連大使は、パレスチナ自治政府への支援をすべて打ち切るべきとの強行案を主張したが、ティラーソン国務長官、マティス国防長官は、すべて打ち切ると中東、先ずはヨルダンが不安定になると反論。その妥協案が60億ドルになったというわけである。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5071026,00.html
アメリカの極端なやりかたは、現地情勢を悪化させるだけだと懸念するイスラエル人もいる。ネタニヤフ首相は、古い体制のUNRWAは解散し、支援金はいったん国連難民機関に戻して、あらたな組織を立ち上げるべきと主張している。
<アッバス議長の怒り炸裂>
パレスチナ自治政府のアッバス議長は、14日からトランプ大統領が、エルサレムはイスラエルの首都と認めた件で、2日間のPLO中央委員会のカンファレンスをラマラで開催している。
その席でのスピーチで、アッバス議長は、トランプ大統領が、ツイッターでパレスチナへの経済支援削減を示唆したことについて、「おまえの家は滅びるように」とのろいのことばを出し、電話でもないツイッターでほのめかしたことに怒りを表明した。
また、例年のように、パレスチナをユダヤ人の祖国と認めたバルフォア宣言を犯罪のルーツだとし、「ヨーロッパは、保身のためにユダヤ人をここへ送り込んだ。イスラエルは植民地活動であり、ユダヤ人との関連はない。」とこれまでにないほどの怒りを叫んだ。
アッバス議長は、1948年のイスラエル独立戦争は、パレスチナ人のホロコーストだとして、アラブ同盟に、バルフォア宣言を出したイギリスと訴えるよう要請している。
アメリカが、エルサレムをイスラエルの首都とし、パレスチナにはアブ・ディスを提案していることについては、断固拒否すると表明。アメリカの駐イスラエル大使フリードマン氏に会うことはないと会談要請を一蹴した。
イスラエルとの和平交渉については、平和を求めるとして者として継続する意思を表明したが、交渉を拒否しているのはネタニヤフだと非難した。
なお、このカンファレンスには、ハマスとイスラム聖戦も出席する立場にあったが、両者ともに「いちじくの葉っぱにはなりたくない。」として出席しなかった。