昨日、シナイ半島とイスラエルの国境付近で、グローバル・ジハーディスト(イスラムの国際武装組織)3人が、イスラエル軍に発砲。イスラエル兵1人が死亡、1人が負傷した。
衝突が起こったのは、イスラエルが建設中の防護壁建設現場近くで、壁がまだ完成していない部分。兵士らは、近づいてきた15人のアフリカ難民に水を提供しようとして持ち場を離れたすきに攻撃されたという。
テロリスト3人のうち1人は自爆して付近にいたイスラエル兵を負傷させた。あとの2人はイスラエル軍に射殺された。
3人が多量の武器を所持していたことから、イスラエル国内で大がかりなテロを計画していたとみられる。ここで防がれたのは幸いだったとイスラエル軍は報告している。
死亡したネタニエル・ヤハロミさん(20)は、イシバ(ユダヤ教神学校)で学ぶ学生だった。基本的には従軍を免除されている身分だが、戦闘部隊で戦うことを自ら志願し、従軍していた。家族が心配しないよう任地は告げていなかった。来月初頭の、仮庵の祭りには休暇で実家に戻る予定だったという。
<武装組織とギャングの巣窟:シナイ半島>
エジプトのムバラク大統領が失脚し、現在のムルシ大統領に移行するまでの間に、シナイ半島はすっかり無法地帯と化した。ムルシ大統領は、本格的にエジプト軍をシナイ半島に派遣してとりしまっているが、すでに無法化した場所をもとに戻すのは困難である。
シナイ半島には、武装組織だけでなく、ベドウインのギャングもいる。アフリカからイスラエルへ逃れようとするアフリカ難民をとらえて、祖国の家族に高額の保釈金を要求。その間に拷問したり、レイプしたあげくに売り飛ばすという非道がなされている。レイプで妊娠した女性はシナイ半島にいるまま子どもを産むことがある。すると「2人になった」ということで、保釈金は2倍になるという。(BBC)
数週間前、アフリカ難民らがイスラエルの国境にたどりつき、フェンス近くにとどまって入国を要請したが、イスラエル政府は一部を除いて、これを拒否している。イスラエル国内でもアフリカ難民がらみのの犯罪が問題となっているため。
<今イスラエル軍で最も危険な任地>
シナイ半島との国境では、6月にも自爆したテロリストの巻き添えで防護壁建設の作業員が死亡。7月には、イスラエルに侵入しようとしたテロリストがイスラエル軍によって射殺されている。
先月8月、シナイ半島に駐留していた治安部隊が武装組織に襲撃されエジプト人16人が死亡。この後、武装組織がイスラエルへ侵入しようとして阻止されている。