ユダヤ教正統派と言えば、私たちの多くが、独特の黒い服装、律法主義、閉鎖的、兵役拒否と、ステレオタイプのイメージを持つ傾向にある。それに間違いはないのだが、その中には変わり種も少なくないということも知っていただきたいと思う。
今回紹介するのは、イスラエルでスターとなって、アメリカでコンサートをするまでになった正統派2人組ガット兄弟。独特の服装の典型的な正統派ユダヤ教徒である。
17年前まではエイラット在住で世俗派。歌が好きだった兄弟は、正統派ユダヤ教とに”立ち返って”からも、路上で音楽活動を続けた。記者もエルサレムの路上で歌うガット兄弟を見た事があるが、あの正統派がギターではもっているのがなんともかわいらしい感じで、多くの人がとりまいていたのを覚えている。
その彼らが、テレビのいわばスター誕生のような番組で認められ、スターとなったのである。芸能界に入っても、ユダヤ教徒としての戒律はしっかり守っているという。無論、父親と、所属シナゴグのラビからの許可もとってある。
ところで最近は、「モダン・オーソドックス」と呼ばれる近代的正統派とよばれる(または自称する)人々が増えてきている。
独特の服装をせず、社会生活は世俗派とまったく同じなので、一見普通の人に見える。しかしキッパを着用し、安息日と食物規定をしっかりと守る。保守派などよりも正統派に近い人々である。このモダン・オーソドックスの人々は、世俗派の音楽も幅広く楽しんでいる。
<ローリングストーンズがシャブオットの夜にコンサートへ>
英国の有名なロックグループでミック・ジャガー氏率いるローリングストーンズ。BDS(イスラエルボイコット運動)に反対され、なかなか来なかったのだが、ついにイスラエル入りが決まった。ギャラはこれまでの最高と言われる額で450万ドル(4億5000万円)。
会場はテルアビブのヤルコン・パークの屋外コンサートで、大群衆になると予測されている。チケットは1枚400シェケル(12000円)。
ところが、問題はコンサートの日程。6月4日のちょうとシャブオットの夕べでである。例祭を祝うべきまさにその時間に、数千人のユダヤ人がローリングストーンズのコンサートで熱狂する・・・サタンの大笑いが聞こえてきそうである。
「楽しみにしていたのにその日程なら行けない。」とモダン・オーソドックスなど現代派ユダヤ教徒たちからは日程変更の要望が出ている。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4503970,00.html (Yネット記事)
<初夏に向かうエルサレム>
ユダヤ教徒もいろろだが、それでも共通のものが例祭だ。エルサレムでは、4月14日の過ぎ越を前に、お掃除グッズが売り出され始めた。過ぎ越の間だけのクッキーもお目見えしている。
イスラエルは今日から夏時間(日本と6時間差)。日中は半袖。初夏の日差しになりはじめている。
*CGNTV 「オリーブ山便り」#46「エルサレムの春」アップ中 http://japan.cgntv.net/newsub.asp?pid=2751&gubun=0309