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旧ソ連ユダヤ人の移住の扉を開けたゴルバチョフ元ソ連大統領
30日、ミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領(91)が、死亡したことは世界中で報じられている。死因は不明である。ゴルバチョフ氏は、1985年に、旧ソ連の最高指導者に就任。当時のソ連末期時代に、情報公開を含めて、政権を立て直すペレストロイカ(改革)を行なって民主化を進めた。
その4年後の1989年12月、アメリカのブッシュ大統領とともに、マルタ会談において、東西冷戦の終結を宣言した。この功績により、ゴルバチョフ氏は、1990年に、ノーベル平和賞を受賞していた。
イスラエルでは、ゴルバチョフ氏が、ロシア国内のユダヤ人たちに信仰の自由を可能にしただけでなく、その後、鉄のカーテンをあげて、イスラエルやその他の国へ移動することを許可した大統領としても覚えられている。
これにより、約200万人のロシア系ユダヤ人が、ソ連を出て、イスラエルやアメリカ、ヨーロッパへと出国していった。Times of Israelがヘブライ大学のトルツ博士のデータとして伝えたところによると、1989年から1999年までの1年間だけで、100万人いた旧ソ連のユダヤ人の4分の3にあたる75万人が、イスラエルへ移住した。
1970年、旧ソ連には200万人以上のユダヤ人がいたが、2019年の時点では、25万人以下と記録されている、さらにロシアのウクライナへの侵攻以降、3万人以上が、出国している。(実際には5万人以上)
後年、ゴルバチョフ氏は、ユダヤ人の出国を許したことで、多くの頭脳が流出してしまったと後悔を表明していたという。しかし、ユダヤ人たちは、ゴル場所府市に感謝をしている。元モスクワのチーフラビであったラビ・ピンハス・ゴールドシュミットは、ツイッターに、「旧ソ連の300万のユダヤ人は、ゴルバチョフ氏に自由の借りがある。」と追悼を書き込んでいる。
アメリカのユダヤ委員会、また世界ユダヤ議会は、ゴルバチョフ氏に対し、ユダヤ人に与えた自由に感謝するとともに、家族に追悼の意を表明した。
www.timesofisrael.com/jewish-leaders-groups-mourn-mikhail-gorbachev-the-man-who-freed-soviet-jewry/
石のひとりごと
なんというタイミングであろうか。ロシアのプーチン大統領が、今、専制政権の復活と新たな東西冷戦をもたらしている今、旧ソ連共産政権と、東西冷戦を終わらせたゴルバチョフ元ソ連大統領が亡くなった。
ゴルバチョフ氏は、ユダヤ人の出国を認めたことで、有能な人材が流出させてしまったと後悔していたという一面はあったが、今、プーチン大統領のしていることには、反対であったと言われている。
一つの時代が終わり、また新たな時代へと移り変わっている。鉄のカーテンがまた降りることになるのだろうか。今まだロシアにいるユダヤ人たちのことを思わされる。。