新規感染者1日で約1万2000人・重症者も増加中 2022.1.6

シェバ医療センターを視察するベネット首相 GPO

急増する感染者・重症者

イスラエルでは4日、24時間の感染者が、1万1978人に急増し、コロナ禍が始まって以来の最高を記録した。陽性率も6.6%(PCR18万9700回)と急上昇している。実行再生産数(R)は、1.94とこちらも上昇している。

注目される重症者数は、4日のデータで125人。このうち46人が重篤となっている。(保健省データ)

ハアレツ紙によると、これまでの統計から、新規感染者の54%、重症になっている人の68%がワクチン未接種者(子供含まない20歳以上)である。

www.haaretz.com/israel-news/omicron-wave-shatters-israel-s-daily-infection-record-1.10515686

4回目接種を受けるヘルツオグ大統領
Haim Zach (GPO)

イスラエルでワクチン2回接種した人は63%だが、3回目も終わっている人は46%にとどまっている。イスラエルの接種率は世界17位とけっこう低い。現時点で、20歳以上でワクチン接種していない人は14%である。

こうした中、イスラエルでは3日から、4回目が、医療従事者と60歳以上高齢者で始められ、すでに10万人近くが予約を取っている。

5日には、ヘルツォグ大統領夫妻がそろって4回目の接種を受けた。

今後の見通しは:2週間以内に重症者500-800人になる?

エルサレムの総合病院であるシャーレイ・ツェデック・ホスピタルのジョナサン・ハレビー院長は、問題は重症者数がどうなっていくかだと語る。どのぐらい危険なのか、それはここ数日の間に明らかになってくるはずだと言っていた。

ヘブライ大学ガジット教授は、2週間以内に重症者が500―800人(これまでの波では1日に1200人が最大だった)になり、その中で3-5%は、ワクチン未接種の11歳以下になると予測している。

www.ynetnews.com/health_science/article/b16qsyxhf

ハレビー教授は、今最も懸念しているのは、医療従事者が感染、または濃厚接触者になり、隔離を余儀なくされることだと語る。医療従事者が不足することで、病院には十分なベッドがあるにもかかわらず、医療崩壊になるというのである。シャーレイ・ツェデック・ホスピタルでもすでに60-70人の医師や看護師が隔離に入っているという。

政府の対応:ベネット首相がコロナ中核病院を視察

4日、ベネット首相は、テルアビブのシェバ医療センター(コロナ中核病院)を訪問。患者受け入れ体制などを視察した。病院長のイツハク・クレイス教授、コロナ病棟担当のギリ・レゲブ・ヨハイ教授から報告を聞き、オンラインで自宅療養中の患者とも話した。

視察後、ベネット首相は、4回目ワクチンについて、2つのことを知って欲しいと国民に訴えた。一つは、4回目ワクチンは安全であるということ。2つ目は、まだ限られたデータではあるが、4回目接種後、抗体が5倍になっているという点である。

この2点から、60歳以上の人は、ワクチン4回目を受けるようにとすすめた。また、まだワクチン3回目も未接種者の多くは子供達であると指摘。5歳以下は接種できないが、5-12歳は、接種を受けることが可能である。

ベネット首相は、イスラエルでは、これまで、空の玄関を大胆に閉鎖するという大きな犠牲をはらって、感染拡大を5週間遅らせてきた。今日にでも接種させてほしい。隔離して子供と別れるなどの大きな痛みを予防できるはずだとよびかけた。

この他、政府は、PCR検査が長蛇の列でパンク状態にあることから、無症状の人は、自宅で簡易抗原検査を行うこととした。この他、隔離期間のルールも変更が続き、国民は混乱の中で、それぞれの判断を強いられている。

www.timesofisrael.com/israel-reports-all-time-high-for-new-covid-19-infections/

石のひとりごと:神と戦う人イスラエル

ワクチン接種をするべきか否か。アメリカでは特に否定論者が多い。イスラエル国内にも否定論者は少なからずいる。陰謀論はじめ、ワクチンを体内に入れることが罪であるという人もおり、そういう人は、ワクチン接種を絶対にしないだろう。こればかりは、それぞれの個人が決めるしかない。

ベネット首相は、神のことばがエルサレムから出るように、イスラエルから世界にワクチン4回目の結果が出て、世界の役に立つというようなことを言っていた。うまくいくのかそうでないのか。いずれにしても実験台になるということである。

ユダヤ人は神に選ばれた民族という自覚はあるが、それは自分たちが、他より優れているとか、神に特別によく扱われるということを意味しているのではないということをユダヤ人はよく知っている。

選ばれたのは、世界の役に立つ、世界の祝福になるためだと考えている。それは時に自分たちの苦しみを通してということも含まれている。だから国民の中にも、リスクを知った上で、世界で最初の4回目ワクチン接種を受け入れる人が多いということである。

私は、イスラエルは本当に神と戦う人々だと思う。嫌って怒って、戦うというのではない。神への深い敬意からの戦いである。神のことは、人間には全部はわからない。何が功を奏するのかわからない。

だから、この全能の神の前で、特に神に与えられた命を守るということについては、とことん、今ある知恵をふりしぼってこれを守ろうとする。

それは、たんに、生き残りたいからではなく、神に与えられた命だから最後まで価値あるものとして守りぬく、使い切るという思いがあるからではないかと思う。

ワクチンを必死に進めようとするベネット首相に、その思いが見えるような気もする。(当然、意見が違う人もいると思うので、あくまでも石のひとりごとということで・・)

いずれにしても、今、イスラエルがやろうとしている、その熱意でもって、神に勝って、祝福となるように祈る。

するとその人は言った。「私を去らせよ。夜が明けるから。」しかしヤコブは答えた。「私はあなたを去らせません。私を祝福してくださらなければ。」その人は言った。「あなたの名はなんというのか。」彼は答えた。「ヤコブです。」

その人は言った。「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ。」創世記32:26―28

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。