コロナ危機の間にイラン軍拠点に打撃か 2020.5.11

イスラエル空軍機 出展:Wikipedia
シリアでは、4月から5月にかけて、5回、シリア北部のイラン軍関係地点が攻撃された。4月27日には、シリア中央部、パルミラ付近への攻撃で、ヒズボラ関係戦闘員9人が死亡。その直前には、イスラエルのベネット防衛相が、「イランはシリアに進出しないほうがよい。」と警告を発していたのであった。
5月に入ると、1日は、イスラエルのヘリコプターが、ゴラン高原からシリア側に設置されたヒズボラの拠点とみられる地域への攻撃を行った。
続いて、5月4日で、アレッポ周辺で14箇所が、ミサイル攻撃をうけたとシリア国営放送が伝えた。シリアはイスラエルによるものと訴えているが、イスラエルはノーコメント。
コロナ危機で、中東諸国が、それぞれ対策に忙しく、かつ、世界も中東問題に、目を向ける余裕がない。特にイランがシリアに進出しすぎることを抑えてきたロシアも、今、コロナ問題で感染者が20万人を超え、死者もすでに1915人と伝えられており、前のように動きはとりにくくなっている。

コロナ危機で、中東諸国も、それぞれ対策に忙しく、世界も今は、中東問題に、目を向ける余裕がない。イランがシリアに出すぎることを抑えてきたロシアも、今、国内の感染者が20万人を超え、死者もすでに1915人と伝えられている。前のような動きはとりにくくなっている。

www.worldometers.info/coronavirus/country/russia/

こうした背景のもと、イランがシリア国内に、またヒズボラがゴラン高原に拠点をさらに展開しているのに加え、イスラエルも、予防的措置としての攻撃以上の攻撃に出ているともみられる。コロナ危機で、イスラエルにとっても動きやすくなっているとも考えられる。

www.ynetnews.com/article/SJRA2w6tL

複雑なシリア情勢:トルコも攻撃

イスラエルとみられる攻撃の他にも、シリア北西部アフリンでは、4月24日に大規模な攻撃があり、少なくとも40人が死亡した。現在アフリンを支配しているのは、トルコなので、この攻撃は、クルド人勢力YPGの武装勢力とみられている。

www.bbc.com/news/world-middle-east-52454134

イラン駆逐艦を友軍が誤爆:19人死亡

5月11日、イラン海軍がオマーン湾沖で訓練を行っていたところ、フリゲート艦ヤマランが、誤って駆逐艦コナラクを攻撃。撃沈させてしまった。この事故で、イラン海軍兵19人が死亡。15人が負傷した。2人が重傷になっている。イランは、詳しく調査するといっている。

www.jpost.com/international/dozens-of-iranian-soldiers-killed-in-navy-missile-accident-627595

ポンペイオ米国務長官イスラエル訪問へ

こうした中、13日、アメリカのポンペイオ国務長官が、イスラエルに来ることになった。第一の目的は、ネタニヤフ首相が、計画しているヨルダン川西岸地区の合併や、中東情勢、コロナ問題などを急ぎ話に来るものと思われる。

13日は、新しいネタニヤフ内閣が就任する予定の日であることから、ポンペイオ国務長官は、できたばかりの内閣と会うことになる。なお、訪問の日程は、新内閣就任の日が決まる前に予定されていたとのこと。

アメリカでは、今、ホワイトハウス内での感染が懸念されていることもあり、厳しい検査体制のもと、ポンペイオ国務長官の動きは、空港とミーティング場所の往復のみで、イスラエルでの滞在は数時間のみの予定。すべて、公開されずに行われ、大勢の記者が集まることもない。

www.timesofisrael.com/pompeo-to-visit-israel-for-talks-likely-to-focus-on-west-bank-annexation/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。