ガザ病院から武装ハマス70人投降:人質3人の遺体確認 2023.12.15

Hamas gunmen surrender to IDF troops at northern Gaza's Kamal Adwan Hospital, in a handout image published December 14, 2023. (Israel Defense Forces)

ガザ北部病院からハマス70人投降

ガザでは北部南部で激しい戦闘が続いている。14日、イスラエル軍は、ガザ北部カマル・アドワン病院から、イスラエル軍を攻撃していた武装ハマス70人が投降する様子を発信した。

ハマスらは、投降して武器もイスラエル軍の前に並べている。70人はこれからシンベト(諜報局)で尋問を受ける。

トンネルへ海水注入作戦:効果確認とIDF

イスラエル軍が、ガザの地下トンネルに海水を注入し、潜んでいるハマスを地上に追い出す作戦を開始したとアメリカのメディアが伝えていたが、イスラエル軍は、部分的にこの作戦を行い、効果が確認できたと認めた。

トンネルに、海水を放水することについては、人質がいる場合の危険性や、ガザの淡水道に悪影響になるのではないかと懸念されていた。イスラエル軍は、人質がいる可能性のあるところは避けることと、ハマスのトンネルは、こうした攻撃も予想して作られているので、水道システムの破壊の懸念はないと言っている。

ガザのトンネルについては、これまでに800本以上の坑道が発見されており、このうち500本が破壊されている。

IDFに痛手続く:ゴラニ旅団長最前線指揮官ベン・バサット大佐ら戦死

ガザでの戦闘は日夜続いている。以下はその戦闘の様子だが、こんな毎日であり、友軍による誤射で死亡する兵士もいるという。ここ数日の間は、イスラエル軍にも司令官レベルの戦死者が相次ぎ、大きな痛手となった。

数日前に、ガザ北部シャジャイヤでの戦闘で、エリート部隊と目されるゴラニ部隊の優秀な兵士たち8人が戦死したと伝えたが、その直後に、さらに2人イツハク・ベン・バサット大佐(44)とエラン・アロニ軍曹(19)の戦死のニュースが届き、この日1日の戦死者は、これまでで最高の10人となった。

戦死したトメル・グリンバーグ少佐とその娘(IDF)

また、イツハク・ベン・バサッと大佐は、ゴラニ旅団長最前線指揮官で、これまでの戦死者では最上級の指揮官だった。昨日死亡が報じられていた同じくゴラニ旅団大隊司令官のトメル・グリンバーグ少佐(35)と合わせて、イスラエル軍には大きな痛手となった。

戦死した9人は、激戦地シャジャイヤでの戦闘で、待ち伏せしていたハマスの銃弾や手榴弾による爆発に倒れたという。以下は、その時のシャジャイヤの戦闘の様子。(あと1人は、別の戦場での戦死であった。)

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/idf-announces-two-more-deaths-including-high-ranking-golani-officer/

この記事を書いている間にも数人の戦死者情報が入っている。

あらたに人質3人の遺体発見

イスラエル軍は、あらたに人質の遺体を発見した。エリヤ・トレドナさん(28)写真左端。

音楽フェスで拉致され、ガザで殺されていた。エリヤさんの遺体は、イスラエルに帰還し、身元が確認された。音楽フェスでは360人が殺され、36人が拉致されていた。

続いて兵士2人。ニック・バイザー大尉(19)とロン・シャマン軍曹(19)の遺体が発見された。2人は10月7日に、エレツ検問所からハマスに拉致されていた。

またそれに先だち、キブツ・ニール・イツハクで、ハマスの人質となり、死亡したとみられていたタル・ハイミさん(41)の死亡が確認され、13日に家族に伝えられていた。タルさんは、9歳の双子と6歳の子供の父親だった。

ハマスの奇襲で拉致された人は240人。このうち105人は人質交換で帰国し、まだ134人がガザに残されている。このうち、少なくとも20人は死亡しているとみられる。それがだれなのかがわからないというのが、家族たちにとっては地獄の毎日である。また女性たちは、性的な虐待にあっていることが懸念されている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。