人口200万人のガザの失業率は50%を超える。イスラエルは、コロナ情勢の改善受けて、ガザからイスラエル国内、もしくは西岸地区での労働許可を7000人分出すと発表。これを受けて6日、パレスチナ人の男性たちが、ガザの貿易事務所前に許可を得ようと殺到している。
ハアレツ紙によると、この日、北部ジャバリア難民キャンプの事務所だけで提出された申請書は1万447件であった。同等の群衆は南部カンユニス難民キャンプでもみられている。
なお、労働許可の条件は、無論、ハマスのメンバーでないこと、26-58歳の男性のみで、建設業などの作業員ではなく、貿易関係のビジネスマンということであった。この情報が行き渡っていなかったとみえ、かなりの人が許可を求めて押しかけたもようである。結局、この日に許可をもらえたのは4000人。3000人分は、後日となったとのこと。
許可をもらいにジャバリア難民キャンプのオフィスに来たアフマドさんが、ハアレツ紙に対し、貿易関係者だけとは知らなかった。また今日許可が出るわけではなく、イスラエルに書類が行ってから審査されるということも知らなかった。結局許可をもらえるのはほんのひと握りだと落胆を語っている。
ガザのパレスチナ人の状況は悲惨で、1時間20シェケル(600円)建設現場で12時間交代働いてでも、仕事が欲しいといっているという。こうなると1日の給与は200シェケルから250シェケル(6000円から7500円)というレベルになると懸念されている。
<超難問:パレスチナ問題>
現在、イスラエルとエジプト、またアメリカも加わって、緊張するガザ情勢への対策が話し合われているが、なかなか難しい状況だ。
ガザの情勢が悲惨になっているのは、ひとえにその支配者であるハマスに原因があるという意外にない。しかし、パレスチナ人の間では、パレスチナ自治政府のアッバス議長への支持率が急落しており、その代わりになるのがハマスしかないという流れになっている。
世の中では、おおむねイスラエルがパレスチナ人を虐めているという理解が一般的だ。しかし、この件のように、国境での衝突が終わらず、先月、イスラエルの警察官が犠牲になった。火炎風船も飛んでき続けているので、イスラエル南部農家は、激しい被害を受けている。ミサイルもいつ飛んでくるかわからない。
この状態でも、イスラエルは、ガザのパレスチナ人の生活の改善こそが解決への道だと考えて、わずかではあるが、国境を解放しようとしているということである。
パレスチナ人に対しては、ガザでも西岸地区でも、労働許可というアメと、またムチをうまく使いこなすしかないのだが、イスラエルは、本当に難しい隣人を抱えているということである。