ガザ地上戦進行中:“戦後イスラエルが治安維持“ ネタニヤフ首相発言で物議 2023.11.7

写真:IDF

ガザ地上戦継続中:司令官らは順調と

イスラエル軍は、昨日、ガザを南北に分離することを完了したと報じていたが、その後も休むことなく、空軍と陸軍の協力で、ガザ市内奥へと進んでいる。空軍が上から発見したハマスを空爆する中、地上の特殊工兵部隊が、ハマス関連施設と地下トンネルの破壊を行っている。

同時にハマスとの銃撃戦にもなっており、指揮官レベルのハマスが死亡しているとのこと。報告によると、地上軍は、モスクや学校などにある服数のロケット弾発射地と、ロケット弾50発を発見。処分している。そういえば、ガザから発射されるロケット弾の数は減っているよう?である。(その分ヒズビラのロケット弾が増えているのだが)

イスラエル軍は、昨日までにハマスの能力をかなり削いだと見ており、ギャラント防衛相は戦闘部隊に賞賛を送った。ギャラント防衛相は、現在ガザにいる最高指導者、ヤヒヤ・シンワルは、自分はシェルターに隠れて部下たちを死なせているのだと語っている。

以下は、イスラエル軍南部総司令官ヤロン・フィンケルマン大将が、ガザ内部の部隊を「よくやっている」と励ましている様子。

しかし、最大の問題は、ハマスの最大の拠点であり、最も大勢の民間人が避難しているシハ病院である。地上軍が、昨日までにその近くまで迫っているようである。アルジャジーラによると、イスラエルの攻撃で、病院の天井が崩れ、死傷者が出ているとのこと。これまでのガザでの死者は、10022人。負傷者2万5408人。

www.timesofisrael.com/deepening-pressure-on-hamas-army-says-ground-forces-push-further-into-gaza-city/

南部への避難経路・人道支援物資搬入について

イスラエル軍HPによると、イスラエル軍は引き続き、ガザ北部にいるパレスチナ民間人たちが南部へ避難するルートを確保しており、そのクリップも紹介している。国連によると、ガザ地区人口の70%にあたる150万人がガザ内難民となっている。

videoidf.azureedge.net/024842e0-c538-4617-bef6-abbb574a3016

ガザへの人道支援物資(燃料以外)は、昨日1日最大となる75台が入ったとのこと。しかし、到底足りるものではなく、次項に述べるが、アメリカがかなり強硬に休戦への圧力をかけてくるとみられている。

現時点では、ネタニヤフ首相は、あくまでも人質解放がない限り、休戦はないとの姿勢を変えていない。

ハマス指導者の半数はガザにいないという現実

イスラエルは、ガザのハマスを殲滅すると言っているが、実際のところ、ハマスの司令官たちは、ガザの外にいるのであり、その者たちはどうするのかという問題がある。

ハマスのややこしいところは、政治部門、軍事部門など様々なオフィスが、様々なところにあり、その高官もいったい誰が一番上かということも分かりにくいという点である。現在、ハマスのオフィスは、ガザ、ヨルダン川西岸地区、レバノン、トルコ、カタール、そしてイランとなっている。(IDF諜報部調べ)こういう外からガザへ指令が飛んでいるということである。

最高司令官とみられるのは、イスマエル・ハニヤ(61)ハニエはドーハ在住で資産40億ドル、サレハ・アル・アロウリ(57)、ハレッド・マシャアル(58)このマシャアルは、資産50億ドルとみられている。イスラエルは一度暗殺を試みたが失敗している。この他にも多数が海外にいる。

www.ynetnews.com/magazine/article/r1zstci7p

要するにガザにいるハマスを滅亡させても、これら指導者は、暗殺しない限り、生き残るということである。

ネタニヤフ首相:ガザ戦後の治安維持の責任は永遠にイスラエルが負うしかないと示唆

6日、ネタニヤフ首相は、バイデン大統領と電話会談の後、アメリカのABCニュースのインタビューに答えて、ガザとの戦争が終わったあとは、イスラエルが永遠に治安維持の責任を負わなければならないだろうと語った。

その理由として、「これまでそうしてこなかったので(2005年にイスラエルはガザから完全撤退)、ハマスかここまでの想像を超えるスケールにまで成長してしまったのだ。」と語った。

これについては、バイデン大統領が強く反対していることであり、イスラエルも、戦後のガザについては、なんの責任も負わないとして、さっさと引き上げる旨を主張してきたことである。

バイデン大統領から何か圧力をかけられたのか、ネタニヤフ首相が何を意味するのかは明確ではない。しかし、今やガザは破壊されつくしており、人が住める様相にないので、これを占領して、回復させる責任をイスラエルが負うとは考えられない。

要は、イスラエル市民の安全を確実に守るためには、なんらかの軍事的な監視が必要になるということだろうとは思うが、これからの動きが注目されている。

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石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。