ガザも西岸地区もウイルス対策 2020.2.22

ラファ検問所 出展:ynet

WHOとともに感染に備えるハマス:ガザ

ガザでは、2月初頭、アルジェリアの支援でできた病院を、コロナウイルスの患者用に準備しておくとして、一般の患者を締め出したところ、住民らがパニックになり、暴動が発生するという事態になっていた。しかし、ガザではまだコロナウイルス陽性のケースは発生していない。

www.i24news.tv/en/news/israel/diplomacy-defense/1580851052-coronavirus-fears-reach-gaza-as-hamas-shuts-hospital

その後、ガザ地区では、中国から戻るガザ住民に備え、WHOとハマスが協力して、ラファ検問所に、54の医療・隔離病室を用意したとのこと。ガザからの出入りがあるエジプトでは、陽性一人となっている。

www.ynetnews.com/article/HJw9d6j7L

ガザ地区は、人口200万人と人口密度が高い上に、下水も不備が指摘されて清潔でない上、医療設備は、遅れたままである。いったん感染が始まると、大変悲惨なことになる。そうなると、イスラエルも他人事でなくなる。

こうした状況だが、イスラエルは19日、ガザからイスラエル国内で働くパレスチナ人の数を2000人増やして、計7000人とした。爆弾つきの風船が今日もアシュケロンの家屋近くで発見されたのにである。イスラエルとしては、アメでもって、なんとか選挙までは戦争をしたくないのである。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/276201

ガザにこのウイルスが入らないよう、祈りが必要である。

うわさでパニック:西岸地区

パレスチナ自治政府は、現在、多くの警察官を研修・共同訓練のために、中国に派遣している。自治政府内務省は、警察官らが、研修している地域は、まだ感染がない地域だと言っている。

イスラエルで感染を止めるにあたり、忘れてはならないことは、パレスチナ人たちもまた感染から守られるということである。西岸地区、ガザ地区からは毎日5万人以上が、イスラエル国内へ働きに出入りしているからである。

パレスチナ自治区エリコでは、19日、病院にコロナウイルス陽性患者がいるのに、自治政府はそれを隠しているとして、パレスチナ人たちが、病院前で反発するデモを行った。しかし、アッバス議長は、これを否定した。

エリコは、中国から帰還するパレスチナ人が、ヨルダン経由、アレンビーブリッジからパレスチナ自治区へ入る入り口となっている。このため、パレスチナ自治政府は、エリコに、隔離エリアを準備した。これを見て、住民たちが、すでに陽性の患者がいるのに、情報を出さない自治政府に怒ったのである。

www.jpost.com/Israel-News/Coronavirus-scare-sparks-riot-tire-burning-in-Jericho-618229

これとは別問題だが、西岸地区では、パレスチナ人とイスラエル軍の衝突が、いまもずっと継続している。21日、エルサレム南部のプロムナードでは、ナイフでテロを試みたパレスチナ人女性が、未然に逮捕されるという事件も発生した。

www.ynetnews.com/article/HyPUOBamL

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。