ガザへ燃料搬入再開へ:右派政治家からは大反発 2023.11.18

ガザへの侵攻から1ヶ月以上となり、ガザの破壊は膨大で、燃料切れから病院が機能を停止し、重症患者や未熟新生児の死亡が伝えられている。また、インターネットや連絡経路も停止している地域もある。

食糧の搬入は、通常必要量の10%に留まっている。搬入してもそれを配布するトラックのガソリンがそこをついている。イスラエル人の人質もこの状態で、赤ちゃんから高齢者までおり、どの程度食料を与えられているかもわからない。アメリカのバイデン大統領は、イスラエルにガザへの燃料搬入を再開するよう、相当な圧力をかけてきたという。

これを受けてイスラエルは、金曜、これから2日おきに、タンカー2台、計14万リットルの燃料を搬入することに合意した。搬入先は、国連(UNRWA)の活動地に限り、ハマスに渡らないよう、イスラエル軍の特別部隊が、厳密に監視すると言っている。実際に、搬入が始まっているかどうかは明らかではない。

www.timesofisrael.com/in-shift-israel-agrees-to-regularly-let-fuel-into-gaza-drawing-outrage-in-coalition/

これについて、イスラエルの戦時内閣は、全員一致で合意したとのこと。国家安全保障会議のハネグビ委員長は、搬入を決めた最大の理由として、ガザ南部に避難民が集中している中、下水システムが稼働しておらず、伝染病が発生するのは時間の問題であることをあげている。もし伝染病が発生したら、イスラエルはもはや、ガザを攻撃できなくなると説明している。

またいずれにしても、今搬入する燃料は、戦前の必要量のわずか2-4%にすぎず、危険性はないと言っている。

しかし、極右のベングビル氏や、宗教右翼スモトリッチ氏は、「イスラエルの人質に赤十字が面会にいくことすら実現できてないのに、こちらは人道支援をするのか。これはとんでもない過ちだ。」と激怒。今の戦時内閣は国を間違った方向に導いているとして、のメンバー変更を訴えている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。